年初め

朝の冷え込みは、厳しい。東の空に浮かぶ雲は、朝日を浴びて赤く染まっている。 新年と共に色々な事件事故が起きるのは、世界が動いているからだろう。更に、政治の世界も同様に色々なことが起きる。  一つは、あの偽メール事件で議員辞職した永田議員の自殺だろう。東大、大蔵省、国会議員と順風満帆に進んできたかに思えるのだが、ちょっと調べるとそういう人生を送ったのではないらし。 あの偽メールも、きちんと調べれば罠だということが判ったことだろう。更に彼の周囲の人間が愚かだったのと同時に、彼自身も若すぎたのかもしれない。 その失敗を糧に、人生をやり直す方法も有っただろう。しかし、それが出来ないほど純粋だったのかもしれない。 麻生さんの年頭の会見で掲げられた書の文字は、「安心と活力」。 総理大臣は、日本の舵をとる船頭である。乗客である国民は、船に乗っているだけで身を任せるしかない。中には急流に怯え救命胴衣を着て川に飛び込むかもしれないが、その先に何が起こるか判らない状況では、落とされないように船にしがみついているしかない。 まさしく麻生丸の船頭に命を預けたわけである。まあ乗船客の中には、それを嫌がり船頭の交代を申し出る客も居るわで相当船の上は混乱しているわけである。 さて、その船頭交代の申し出はお断りしている状態だが、船頭自身もこの急流は予想外だったらしく、有効な手立ては打てずじまい、この急流に船を任せるしかない。更に船の周囲には、難破しそうな大型客船、更に沈没間近の船が居て、それに手を差し伸べようにも自分の船を心配しなくてはならないため、動くに動けない状態である。  そこで、せめて自分が舵を取っている船の乗客には、川の流れには目を瞑り、せめて船の中では、飲めや歌えのドンちゃん騒ぎをしてくださいといっているのである。  安心は、言葉で得られるのではない。攻めて、船に救命ボートをつけるなり、或いは安全な川の流れに船を誘導して乗客を安心させて貰わなければならないだろう。 その方法の一つが、乗客に金を渡し、これで何か買ってくださいというようなものでは、乗客が納得するわけも無い。それなら浮き輪の一つでもくれた方が、この先の転覆に備える意味でも重要である。 では、その浮き輪となるものは、何か? 世界が沈んでも、乗客の皆さんは浮いていられますよと言う安心は、何で得られるかといえば、助け舟が周囲に居る事。その助け舟が、ぼろくて今にも沈みそうでも有ると無いとでは大違いである。まあ、それでも助け舟が沈んで大勢の客が、こちらの船に乗り移ってくるという危険もある。  そこで、昔の三国同盟のような、共に助け合ってこの困難を乗り切るような体制をとるのか、それとも自分たちだけの努力でこの困難を乗り切るか決断するときがくるのだろう。 通常国会は、今日から始まるのだから、この未曾有の危機を烏合の衆とはならずに国会で論戦してもらいたいものである。