国債について

 曇りで少し霧雨が頬を濡らす。少し肌寒いし湿度が高く感じる。


 7月29日に「国の借金」としてブログを書いたが、少し国債について追加する事にする。

 今日本の国債残高が幾らあるか、この資料は、財務省の「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」(http://www.mof.go.jp/1c020.htm)にある。その中の2009年3月末の数字を引用する。
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 見ていただければ分かるが国債の発行残高が凡そ680兆円ある。

 ではこの国債は、誰が保有しているのか、日本銀行の資金循環統計をダウンロードして分析すれば分かるようなのだが、素人には時間が無いのでネット上にあった資料を引用させてもらった。
 以下の図は、会計検査院 平成16年度の「決算検査報告」から引用(http://report.jbaudit.go.jp/org/houkoku-mokuji-list.htm
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その殆どが、郵貯、簡易保険、銀行からの買い入れとなっている。

で話は、この膨らんだ国債の残高なのだが、簡単に言えば買われた資金は、国民の預貯金が原資となっている。(全ての国民が全員かと言えば、全員ではない。ただ企業や年金資金等があるので、多かれ少なかれ係わっている人は国民全員に近いと言える。)

 では借金が膨れたことで問題になるのはどこかと言うと、やはり返せ無くなった時どうするかと言う事である。

 国債は、日本国に信用があれば借金とはいえないものである。利払いを加えた償還を行っていれば何の問題も発生しない。しかし、その償還が予算の大部分を占めるようになれば問題が発生する。
 それは、返すお金のために生活費が無くなったようなものである。当然個人なら生活を切り詰めるか借金をするしかない。国の場合、予算を減らすか、増税をして予算を確保するしかなくなる。

 増税は、確かに国の予算を増やす事が出来るが、それによる海外への資金流失や消費の減退、それによる景気の悪化が付いて回る。

 今回、消費税の問題が選挙の争点になっているが、景気が回復しなければ消費税増税しないという論法であればいつまでたっても消費税を上げる事は出来ない。これも選挙が終われば、いつぞやのように法案を通してしまえば公約など有って無きものだろうが。

 更にそのような場合、国債の評価が下がるわけで、引き受け手がなくなってしまう怖れがある。その場合、利率を引き上げて売るしか方法が無く更に債務が増加する。
 また国債が本当に売れなければ、いつぞやのアルゼンチンのように破産宣告をして償還年数を先延ばしするしか方法が無くなるだろう。
 
 では国債残高を無理に下げようとしてもそう簡単では無い。借金を返してばかりでは、次に繋がる国の運営を行う予算が無くなるからである。
 
 日本の国家予算は、一般予算は90兆円、その他に特別会計が170兆円余り、総額で260兆円程が年間予算として使われている(H20年 wikipedia参考)

 そのうち 20兆円ほどが国債費に充てられその内の10兆円が利払いだけに当てられている。「平成21年度一般会計歳出歳入の内訳 財務省」(http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/002.htm

 こうして調べてみると、何故歳入の予算内で予算を立てることができないかと言う疑問が浮かんでくる。赤字国債まで発行し無ければ本当にお金が無いのだろうかという疑問である。

 普通の健全な企業であれば、収益に見合った支出を考えて予算を作る。それで無ければ倒産してしまうからである。では、何故国はできないかと言えば、税収は、年貢と同じ貢物だからである。もし予算が苦しくなれば税率を上げれば済むことだったからである。これは太古の昔から行われ誰もが当たり前と考えてきた。
 特に税金を使う側にとって、使うことが仕事で節約しようと言う事は頭にないことである。その役所が、エコを唱え国民に無駄遣いをさせないように宣伝するのは片腹痛い事である。

 では国債は、どうかと言うと、景気の良い時は本当に価値のあるものである。きちんと買ったなりの利息が付き銀行に預けるより安心である。

 しかし景気が悪くなるとどうなるかというと、たちまち隠れた税金と同じ扱いになってしまうのである。もし国債が紙切れにならないようにするためには国民から返す金を税金として徴収しなければならない。しかし買っている本人にとっては、自分の税金がまた自分に戻ってくる事に他ならないものになってしまうのである。

 そうやって堂々巡りするのなら返さなくとも良いかというとそうではない。国債を返すことが日本の信用に繋がることになるのである。

 だから少なくとも国は返す努力をし、膨れ上がった国債残高を減らすべきなのである。そのために税金を上げるか、建てる予算を減らすかは、国会が決めなければ成らないし、それをする国会議員を選ぶ事が国民の義務だと思う。

※ 最後にお断りするが、これは専門家ではない素人が考えた文章であるので、文章の全てが正しいとは限らない。読んだ人がそれぞれ調べるなりしてもらいたい。