この先の未来

 曇り空。雲間に太陽の姿は見えるが、すりガラスのフィルターを通して見える。本当に今年は雲の多い年である。これも太平洋高気圧の張り出しが弱く、オホーツク海高気圧の張り出しを抑えられず丁度北海道の上空が狭間になっていると思われる。今年は秋が早く訪れそうである。

 今選挙の時期で、各党甘いとろけそうな公約ばかりを有権者に提示する。それが選挙の本道なのだろうが、果たして本当に実現できるのと言う話ばかりである。今までなら公約は、言った者勝ちで、誰もその実現に責任を持ったものは居なかった。政治主導とは名ばかりで官僚主導の時代が続いたともいえる。
 この先の日本の未来を真剣に考えた政治家は居なかった。それは、仲間内の権力闘争と、自分への利益誘導が自分たちの役割だと腹の中で考えていたからだろう。
 それは、選挙運動に係わる人たちの利益誘導とそのおこぼれに預かろうとする人間たちの心の闇を見たからに他ならない。まあそれは何時もの事なのだが、出来もしない公約をあれ程言い募る事が出来る不思議さと言える。
 
 その選挙運動も今日で終わり、明日は投票日である。そしてその結果は、開票と同時に明らかにされる筈である。それが日本のこの先を決める結果と成るわけである。本当に怖いのは選挙が終わり、その先にある未来の不安に対して立ち向かう体力が本当に残っているかということである。選挙を勝つためだけに立候補した人が、果たして次の現実に速やかに移行できるかと言う事である。

 
 今回の選挙は、社会保障の選挙ともいえる。医療、年金、介護、教育など全ての問題は、その補償を国民に約束するかである。しかしここで問題なのは、この政策自体国の経済不況を解決する直接の対処法ではない事である。
 医療費をこれ以上増やしても、無駄が増えるだけである。老人に幾ら年金を保証しても、老人にこの国を支えていく力はもうない。やはりこの国を支えていくのは今の現役の労働者が元気に働ける環境を作る事だと思う。それが出来なければこの国は朽ち果てる。
 
 本当なら、今の普通と思われている生活基準を見直す時期に来ている。今の日本は、物が溢れ生活に困る事は無い。他の国と比べたら豊かな生活を送っていると思われる。その生活水準をバブルの前のころの水準に一度下げる必要がある。
 そこから適正な生活レベルを国民全体で考える必要があるだろう。そこから必要なもの必要でないものを整理整頓して国の基盤を考えるべきだろう。
 
 このバランスの悪さは、混沌を産み更にそこに存在する人間の精神を不安定にさせる。ここいらで本当に生活に必要なものは何なのか考える必要がある。
 例えば、地デジがその筆頭かもしれない。本当にそれが必要あるの?アナログで充分では?国民が求めているのはシステムの内容ではなくソフトの充実だろう。技術は進歩してもそこに流れる番組は低俗化して見るに耐えなくなれば、システムそのものも低俗化する。
 インターネットに代表される情報化の進歩は、本当に国民に幸せをもたらしただろうか?技術の進歩が国民生活に役立っているのかと考えれば甚だ疑問である。技術の進歩は、世の中に低俗な情報を撒き散らす道具に代わった様に感じるのは自分だけだろうか。