東京V vs 札幌

 昨日の試合、CSで見ました。

 試合開始時間が午後7時30分という遅い時間、それでも気温は31度という猛暑の中で行われた。ゲーム前の選手を映す画面に、試合がまだ始まっていないにも関わらず、既に汗をかく札幌の選手たち。

 この時点でこの試合の趨勢は決まっていたかもしれない。札幌にとって暑さは鬼門である。

 試合開始直ぐ、この暑さの中、前目で一生懸命プレスを掛ける札幌の選手達。いつ見てもこの選手の動きに何の連動性もない。それは毎試合毎試合同じである。

 その動きの中で、砂川選手の縦パス一本で内村選手が抜け出し、キーパーの倒れた上を抜く技ありのシュートが決まり幸先良く札幌が先制する。

 普通ならこの暑さを考え、消耗を避けるため守備ラインを下げゴール前を固めのがセオリーである。もしかしたらそれをしていたつもりだったかもしれないが、その間隙を縫うように相手にパス回しをさせてしまう。そしてシュートのこぼれ球を相手に詰められ同点にされる。

 その後は悲惨だった。相手に良いようにボール回しをさせてしまう。

 あれを止める方法は、一つは、札幌の選手間の距離を縮め守備の網に相手の選手を絡めとる方法と、奪ったら全員で攻め上がり速攻なりボールを奪われないようにパスを繋ぐしか無い。

 

 相手にボールを渡してしまったら休む暇が無くなり体力を消耗するばかりであるからである。東京Vがここ最近調子を上げているのは、ボール回しをすることで相手の体力を奪い自分たちの体力を温存することがこの暑さの中でできるからである。

 その点札幌は逆で、この暑さの中でも春先と同じように動いてくる。それが出来るのは開始15分くらいまでだろう。それが今までの試合で証明されているにもかかわらず同じ動きをしよとする。

 中断期間中の練習も、暑さの中でも走り切る体力強化だった。その成果は、きっと秋になれば発揮されるかもしれない。

 普通、運動競技は体力強化の効果が現れるのに時間がかかる。普通なら二月ほどだろう。その前に必ず疲労のピークが訪れる。その期間は、運動能力が低下すると言って良い。

 そして、中断期間が6月なので、その成果が今月出て良いはずなのに、それが全く無い、逆に疲労のピークが来ているようだ、それにけが人も多い。全くもってコンディション調整に失敗している。更に輪をかけて酷いのは、その間試合に関する打開策が何も無いことである。

 普通ならあの先制点の得点後にどういう試合運びをするか選手たちに意思統一が無ければならない。しかしピッチ上にそれを選手たちに理解させる役割の選手がいない。誰もが自由で誰もが別のイメージを描いている。

 それに反して東京Vの試合運びは、正に的を得ていた。もしこの選手達の中に、かって在籍した大黒選手やフッキ選手、ディエゴ選手がいたらこの時点で昇格候補に上がっていただろう。

 それが居ない中、選手たちのゲームをやり切る意思統一は出来ていた。翻って札幌は、その形となるものが何も無い、有るとすればまさしく燃料切れを覚悟で飛び立つ特攻隊である。

 本当にアホである。最後は見ていて辛くなるほどである。精神論でアメリカに立ち向かおうとした戦中の指揮官の元戦った日本軍の玉砕精神を丁度終戦記念日の日に合わせたかの様に、サッカーの試合で見せられるとは思わなかった。

 そして、試合は2-1で敗れたわけである。