正義 「ハーバート 白熱教室」

 今日は、朝5時頃から頭上に有った雲が徐々に薄くなり7時過ぎには快晴となった。今日は、道内各地で夏日となるようだ。しかし、6月は、暑かったり寒かったりの繰り返しで中々油断はできない。

 NHKの教育TVで「ハーバード白熱教室」という番組をやっている。既に9回目が再放送されている。

 この番組で思うのは、やはりアメリカの懐の広さだろう。それは何故かと言うと、講義を受けている学生の人種の多様性である。アメリカの超エスタブリッシュの名門大学であるハーバートに居る学生がである。
 普通なら、アメリカの政治、経済、法律などの要職を将来占めるだろう学生なのだから白人が主かと思うだろうが実際はそうでないことにまず驚く。そしてアジア系の学生の多さで有る。その中に日本人と思しき学生の姿は無さそうである。

 このアメリカの強さは、クリント・イーストウッド主演の「グラン・トリノ」を見て改めてアメリカの変化を感じさせられたが、アメリカ自体もその多様性を受入、更にその民族のアイデンティティさえも受け入れながら、ひとつの国として成り立つこのすごさに圧倒されるわけである。

 それは、既に多様な人種が入り込んでいるのに関わらず、純血主義を強調する日本との違いだろう。アメリカでも人種差別は当然有る。当然日本にもある。だけれどもそもそもの国の成り立ちが違うと言うとそれまでの議論になるがそれさえも、一つの国のエネルギーに変えて居るようにさえ感じる。

 このエネルギーが別な方向へ行かないようにするために教育が有り学問が有る。それを非常によく感じさせる番組である。ただし、この様な教育を受ける事ができるのが極限られた学生であると言うことも事実である。

 前置きが非常に長く成ってしまったが、この講義の主題が「Justice」である。日本語で訳せば正義と成る。しかし、字義通りの日本での正義と英語の「Justice」は少しニュアンスが違う。

 そしてこの番組を見て思うことは、「Justice」という物差しの違いである。この講義の中でも、学生が賛成、反対意見を言うが、その主張それぞれにも発言者なりの正義が存在すると言うことである。

 そのどれも紛れ無く正義であり、それを信じるものに取って相反する正義が存在することを許すか許さないかと言うことに成るのだろう。

 実際の教室の講義は、マイケル・サンデル教授の締めがある。しかし、本当にそれが解だと力説するわけではない様に感じる。その多種多様な意見を学生が考えるための道筋を与える事の繰り返しで有る。

 まだ今後も放送があり、全ての講義が終わるまでに答えを見つけることが出来るのか出来ないかは不明であるが、自分自身で正義はどこに有るのかを考えるには非常に優れた講義であると感じる。
 
 まだ明らかでない、正義ではあるが、本当の正義と呼ばれる真理はこの地上に存在しないと何となく感じているのだが、皆さんの思いはどうだろう。