イレッサ

 曇り、東の空に雪雲が浮かんでいるが、こちらまでは流れてこないようだ。気温は、零度近い。


引用 朝日新聞(http://www.asahi.com/national/update/1115/TKY201111150257.html) 

イレッサ控訴審、企業と国の責任認めず 原告逆転敗訴

 肺がん治療薬イレッサをめぐり、副作用で死に至る危険性を十分に説明していなかったとして、死亡した患者3人の遺族が販売元のアストラゼネカ(大阪市)と国に計7700万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が15日、東京高裁であった。園尾隆司裁判長は、ア社と国の双方の責任を認めた一審・東京地裁判決を取り消し、遺族側の請求を全面的に退けた。

 イレッサは、発売当時肺がんの治療の新薬として脚光を浴び、その当時日本の薬事承認の期間が長いと批判されていた時期も重なり、短期間で承認された薬である。

 この薬の宣伝文句の一つに、副作用が少ないがあった。しかし、いざ使ってみると間質性肺炎を引き起こす患者が多数みられたという事実がある。

 また対象となる肺がん自体の生存率が元々低く、その延命効果と副作用による影響死を比較した場合の生存率の関係性をどのように評価するかという問題がある。

 抗がん剤の効果は、徐々に世間に理解されてきているが、必ずがんが治癒する薬ではなく、がん縮小効果が主である。

 ただし、このイレッサを使うことでがんが消失する症例も多く認められたことが他の抗がん剤と異なるところである。

 昔なら、その薬だけしか治療方法が無く、それに命を掛けて使用するという流れの中で、薬の副作用が発生しても無視される傾向にあった。
 
 それが時代と共に、説明責任が問われ、その薬についても十分な副作用の説明が求められるようになった。

 ただ、この薬に関しては、試験を急ぐ余り、適正なデータを提出していないなど、審査の正当性についても疑問がもたれ、この点でも問題はある。

 一つだけ言えるのは、がんの特効薬は世界に存在しない。ましてや健康食品などでがんは治るものではない。