曇り時々晴れ、気温は、朝の6時で16度、少しひんやりとしている。日中は雨雲が通り過ぎるらしい。

 朝の通勤に通る道にある家が、突然空き家になった。空き家と言っても、売りに出されているわけでは無く、人が住んでいないだけである。

 いつも庭がきれいに手入れされ、近所の家と競うように色とりどりの花が咲いていた家なのに、人が手入れをしなくなった途端、地面には雑草が生い茂り、植えられた庭木の花は、手入れされていなくても咲き誇っているのだが、雑草と一緒にきれいな花が咲いていると一層寂しさを感じさせる。

 景色というのは見る人の心象で大きく変わる。もし、雑草が生えていなければ、あの花もきれいに見えるはずなのにと思う。

 家などは、多くの人が結婚を機に持つことが多いだろう。その年齢は30代以上が主に違いない。そうすると3,40年もすれば、そろそろ代替わりの時期を迎えることになる。
 
 普通の家は、歴史的建造物として何百年も保存されることは無い。主がこの世を去るか、或いは手放してしまえば、そこで家の寿命は終わる可能性が高くなる。
 
 今まで有った家が取り壊され、更地になり、また新しい建物が建つ。そういった繰り返しで街は姿を変えて行くものである。永遠というものは、人にも家にもない。

 そういう事を考えながら、通勤の道すがら庭を見ている。この家の持ち主が早く帰ってきて、きれいな庭に戻してくれることを願いながら。