新社会人の方へ

 晴れ、気温はマイナス1,2度、風もなく穏やかな天候である。


 来月は、4月、新入社員を迎える月でもある。その多くの新入社員たちは、この先の明るい未来に期待を持って新社会人になるのを待っているのだろう。

 それを迎え入れる側も、その新人たちを如何に育てるかが求められている。昔なら、手取り足取り隅々まで教えるという事は無く、自分たちで先輩のやり方を真似して仕事を覚えるという事がなされてきた。

 しかし、時代は変わり、マニュアルが新人教育の教科書となった。その教科書に沿って一通りのことを覚えてもらい社会人になるというようになった。

 そのマニュアルに書いていないことは想定外であり、その想定外の事が起きた時、どういった対応を取ることが正しいのかを教えるのが先輩の役割になる。

 しかし、如何に先輩と言えど、決して人生の達人では無い。時には大きな失敗を起こすことも有る先輩である。全てが正しいことを教えてくれるわけでは無い。

 先輩自身もそれが本当に正しいやり方なのか絶えず試行錯誤しながらの経験を教えているのだから間違いはある。それを新社会人はどのように受け取るかである。間違った事をひとつ教えられただけで頼りにならないと決めつけるのか、そういった間違った事を教えてしまう現状を正しく認識し、自分なりの解決方法を模索していかなければならないと悟るのかが人生の分かれ道である。

 将来の全てを見通せる人間はいない。指導者と言えども道を誤ることも無い事では無い。指導者ともなればその経験値から8割方道を誤らないというだけである。

 残り2割は判断を誤ることは往々にしてある事なのだから、新社会人が直ぐに正しい判断を下せるとは限らないという事を自覚していなければならない。世の中に常に正しいというものは数少ない。昨日正しかったことも今日に成れば間違っていたという事は常に起こりうるものなのである。

 我々が期待しているのは、完璧な新人では無い。ミスもする人間だと最初から思っている。思われている中でミスをするのは期待通りなのである。マニュアルにないことができないのも人間として最低というわけでは無い。

 そのミスの中から、或いは先輩たちの失敗から何かを掴んでほしいのである。そこから自分の未来が開けることを肝に銘じてほしい。