対 大宮

 晴れ、気温は4度。まだ3月だが雪解けは2週間ほど早く、暖かもそれに合わせ早い。今年の夏は暑そうである。


 昨日の試合、CSで見ました。

 結果はドローだったが、J1レベルとJ2レベルの差は垣間見られた。また大宮がJ2に落ちた理由も判る気がする。

 J2は縦に速いサッカーをするチームが多い。大宮もその点では昨日の試合は、ディフェンスラインの裏を狙う大きな縦パスが多く、それなりにJ2に順化しているのだと思う。

 そしてJ1レベルだったのは、ワンタッチパスであっという間に札幌の守備陣を置き去りにする攻撃だった。あの攻撃の流れができるのは、今のJ2には居ない。

 まだ、開幕して4試合しか見ていないのだから全てのチームを見ているわけでは無いので、大宮と同じ攻め方ができるチームは他にもいるかもしれないが、あれで決定力が有れば間違いなくJ2をぶっちぎりで抜け出せると思うが、今日の試合を見て思うのは大宮は間違いなく苦労するだろうという事である。

 しかし、財力があるチームであるから、夏場に補強しこの欠点を埋めてくるだろうし、その予想を含めてJ1復帰の第一候補だとは思う。

 札幌の試合では、少し体力の無さが伺えたが、それも前半決定機に得点を決めていればあれ程走り回ることは無かっただろうし、余裕を持って試合を進めて行けるだろう。兎にも角にもやはり得点を入れてナンボであるし、それができる選手が今はいないというので、勝ちきるのに時間を使うようになっている。この後J2の走り回るチームやドン引きのチームと当たるわけで決定力の無さで当分去年の磐田のような戦いを強いられるのは間違いないと思う。

 大宮の事ばかり書いてしまったが、昨日の札幌の戦い方も粗が相当目立つ試合だった。その一つが、前半ワンタッチパスを繋がれ止めきれずどんどんバックラインの裏側に飛び出された結果、守備の方法が簡単に混乱してしまった事だろう。

 そのため盾に急ぐパスが繋がれば攻撃に成ったが、それが引っ掛かると途端札幌のゴール前に攻め込まれクリアするのがやっとという展開にしてしまった。

 本来ならゴール前につながるパスの出所を抑えて行かなければならないはずがそうはならずフリーにしてしまう。それは相手の大宮の選手がハーフラインを超えたところで2,3人でプレスに行くのだが、それが簡単に交わされ真ん中にフリーゾーンが出来てしまっていた。

 

 後半、パウロンが退場して少し全体にラインを下げたところで相手の攻撃が手詰まりに成ったところを見れば、試合の入りは、ハーフラインより5メートルくらい引いて守る必要があったのだろう。

 その辺り、前節の勝利の余韻を引き摺り前でプレスを掛けようという意識が強すぎたかもしれない。ただし、相手をリスペクトし過ぎて長崎戦のように5バックで戦うのも不味いので、さじ加減は難しいが、相手の攻撃を見て自分たちでラインのコントロールができるようになれば良いチームに成るだろう。

 結果論に成るが、前半PKで得点を入れた後も同じような守備では無くすこしラインをコンパクトに保ち無理にプレスに行かず前3人のプレスから漏れたボールに対して守備に行くというように割り切りも必要だっただろう。

 ここで選手の寸評を

 金山:フリーキックは考えすぎ、逆に動かなければ相手の得点は無かった。他のシュートは止めていたしハイボールも相手にそれ程長身の選手が居なかったのでミスは無かった。後半一人少なくなった後無得点で押さえたのは褒められるところだろう。

 櫛引:飛び出しも良く、攻撃参加もしていたが、まだJ1レベルの選手相手だとクリアするのが精一杯。あれが落ち着いて味方の選手に繋げるように成らないと厳しい。

 河合:スピード系の選手には完全に振り切られるのは仕方がない。その部分は技術でカバーしているところは他の選手も見習ってほしい。今の能力で10歳若ければ確実に日本代表にいるレベルだろう。

 パウロン:頑張っていた。一発レッドも仕方がない。もし入れられる可能性が有れば止めるしかない。ただイエローくらいにとどめられればと思う。足元も落ち着いていて潜在能力は高い。欲を言えばヘディングが攻撃に生かされれば上のレベルに行ける。

 福森:CKやパスに光るものを見せている。守備力はまだまだ、攻撃もドリブルで深く持ち込むなどが出来れば一皮むけるだろう。

 堀米:昨日の試合は守備に追われ走り回っていた印象が強い。後は、攻撃に移る時の視野の広さを持つと良いのだが、周りの先輩に頼る部分も多い。後半一人少ない時、札幌で走り切れる選手は君しかいないのだから、もっとアグレッシブに攻撃参加ができると良かった。試合に出続ければ周りから信頼されもっと活躍できるだろう。去年修行の旅に出た成果が出ている。

 稲本:前半、大宮の選手のスピードに着いていけてなかった。それはしょうがない。後ろからパスを出す能力は光っていたが、体力がというところ。けなすわけでは無く、それは承知で札幌に加入してもらったのだろう。もしスピード、体力が衰えていなければ札幌には居ない。ただ、もっと若い選手に負けられないという所を見せて欲しい。そうして若手を成長させてほしい願う。それだけでいいと思う。

 古田:再三、ドリブルでチャンスを作る。前節と同様体の切れがあるところを充分見せてくれた。彼が攻撃参加することで右サイドを抑えられた。相手が同年代という事で抜かれまいという気持ちが強かったのだろう。守備能力を期待するより彼には攻撃能力に特化して伸ばす方が海外移籍の夢をかなえるには近道かもしれない。今年は、海外挑戦最後の年と思って得点を沢山とる活躍を期待している。

 内村:前半良く前で走っていたが交わされプレスが掛かっていなかった。結構無駄走りをして体力を消耗してしまい攻撃力を生かすことはできなかった。彼の得点を待ちわびているのだが、ナザリト、都倉が居ては中々自己主張するのは難しいのだろう。

 宮澤:前半の稲本からの縦パス一本でゴール前に抜け出しキーパーの頭を抜こうとしたところ、決めていれば2点目に成り札幌優位に試合を進められた。あの時札幌の選手全員の気力が落ちたのを画面を通して感じることができた。チームリーダーに成るには、あそこで決めなければ器用な人で終わる。後半、一人少ない状態で守備の人になってしまったが、FWで出たら得点を必ず取るくらいに活躍して欲しい。生き残るにはそれが必要である。

 ナザリト:後ろから効果的パスが出ないのと、相手チームにマンマークに付かれると余り実力を発揮できない。昨年の厚別での試合を思い出した。身体能力は遥かに相手を上回るのにそこが出来ないのがまだ不器用なのだろう。こちらも大器晩成型で体力の衰えと共に消えていくタイプなのかもしれない。PKもGKに蹴る方向を完全に読まれるところも彼らしい。この試合は、良い所は無かった。

 上里:稲本と交代で出た後、大宮の攻撃を守備で押さえていた。次の京都戦は先発するだろうから攻撃の活躍を期待する。

 二ウド:面白い選手ではある。CPPで去年のレッドカードの多さを大森さんに散々突っ込まれていたのを覚えていたので、ナザリトが興奮して審判に食って掛かるのを抑えていたのには失礼だが笑ってしまった。それだけ心を入れ替えたのだろう。ブラジル選手としては足元は不器用。体力は有りそうなのでビジュ選手を思い出した。それなりに使えれば面白い選手に変わるのではないだろうか。

 前寛:試合時間が短くてなんだが、まだ試合に入れるレベルでは無い。先発目指して頑張れ。

 

 上にも書いた様に、選手の能力はそれ程さが無い。差があるとすれば選手の意識だろう。やはりJ1の選手ならこれだけで来て当たり前という環境で練習をするか、J2でそこそこ勝てるところで満足する選手ばかりの差なのだろう。

 あれだけパスを繋がれ、ゴール前で簡単に相手に振り切られる守備をしていては、J1レベルに達するのは無理。今回の試合で選手全員目覚めて欲しい。目標とするJ1に行くには、今の大宮程度なら見下すレベルの試合をしなければいけないことを。