選挙

 曇り、気温は15度、肌寒い。日中は気温が上昇し夏日になるようだが、今の空模様ではそれも想像しにくい。


 東京都知事選は、参議院選挙をしのぐほど有権者の注目を浴びている。立候補者の顔ぶれを見ると行政の専門家に程遠い人ばかりで、それでも当選すれば都知事なわけである意味首都東京の知事選びに疑問が付く。以前誰かが書いていたが、誰でもできる都知事なら選挙で選ばず任命制にした方が選挙費用も掛からずもっと有能な人をトップにすることができるはず。でもそうしないのは、都知事を選ぶこと自体が庶民の娯楽のようなものなのだろう。お祭り騒ぎが好きな人にとって踊らにゃソンソンということだろう。

 翻って参議院選挙の北海道地方区だが、候補者の政策に疑問が沸いた。新聞に載る重要課題についての本人の考えであるが、昨日の夕刊は北海道の医療政策であった。地方偏在の医師についての今後の政策なのだが、それがどの候補者もまともな考えを持っていないことである。

 北海道は、過疎地の医師離れが酷く、札幌を中心に医師が偏在している状況である。それに対して、医学部の定員を増やし、地方へ赴任する意志のある学生に奨学金を渡すというものである。

 確かに医師を増やせば地方に出向く医師も増えるだろうが、それは問題解決の糸口にはならない。それはもう一つの問題を引き起こす。医学部の定員を増やせば増やす程、優秀な学生が医学部に引き寄せられる。それも理系である。今の日本の産業が振るわないのは、優秀な理系の学生が成績が良いというだけで医学部に入学していることである。頭が良いからと言って医療に向いているかどうかは判らない。そういった不向きの医者は今も大勢存在する。

 本来ならもっと自身にあった職業があるはずであるが、その最初の選択で誤ってしまっている。人の命を救いたいとかいう綺麗ごとを信じ込み実際の現場に出向いたとき人の命は医療だけでは救えないことに気付くはずである。その気付きもない医師も大勢存在するが。

 北海道の医師の偏在を医師数を増やすことで解決しようとする方策は一番の愚策である。都会に偏在した医師を地方に移動させることの方が大切である。医療がまんべんなく地方に充実すれば過疎化の対策にもなるはずである。医療圏内の診療科による医師定員制に舵を切る時が来ている。

 このままでは何事も都会でなければ生活できない国にしてしまう。便利なものが集まれば集まるほどその中にいる人は堕落する。便利だから自分で工夫して生きていくすべを忘れてしまう。だから、日本に活力が失われているのだと思う。

 今の日本は、便利な社会を追求するのではなく、既存のものを捨て少し不便でも何かを開拓することに力を注ぐべきである。東京のみが巨大化し、それ以外の都市がミニ東京化することを防がなければ新しい未来は無い。

 今回の北海道の立候補者にそういった開拓精神が見られないことも寂しいことである。