犯罪者の再犯を防止するための一考察

もしあなたが深い渓谷を歩いていて、今にも壊れそうなつり橋に行き当たったとしたらあなたはどうしますか?
1.見るからに危険なので他の道を探すため引き返す。
2.危険かどうか確認し危険な場合は引き返す。
3.危険かどうか確認するためにまず一歩踏み出してみる。
4.そこに橋があるのだから取あえず渡ってみる。

このうちのどれかを選択するだろう。中には1.を選んだけれど他に向こう側へ渡る方法がなくまた戻ってくる人がいるかもしれない。

 普通未知の体験或いは危険と感じる場合、最初に踏み出す時は慎重に行動を始めるのが普通である。しかし、一度、或いは二度、三度と経験を積みその橋を渡っても大丈夫と認識すれば、最初に渡った時の様に慎重に踏み出す事はなくなってくる。

 『犯罪も多種多様であるので全てをパターン化できないのは承知で以後話を続けます。』
 
 その前に、話せばわかるという人もいるだろう。その犯した行為によって被害を受けた人の痛みがわかれば犯罪は抑止されるだろう。この場合は再発防止の観点から言えば何も問題ない。

 問題は再犯を繰り返す犯罪者の抑止方法があるかということである。
 初めての行為は慎重になるが慣れてしまうと大胆になってくる。経験が判断力のスピードを上げ、誰にも発見されないという安心感がそれを助長するからである。
 話してもわからない犯罪者の場合、抑止する一つの方法として体罰がある。痛みを与える事によりその行動を抑制する事である。この方法は、かなりの部分で有効である。
 しかし犯罪を犯すものにとっては、犯罪とその体罰を天秤に掛け、より犯罪の方が自分にとって得られるものが多いと感じれば犯罪に走ってしまう。これが、犯罪を犯したものを捕らえて刑務所に収容しても、出所後に犯罪を繰り返す大きな要因である。再犯を繰り返すものにとってその程度の痛みは何の抑止にもならないしその痛みにさえ慣れてしまう。

 では犯罪を防ぐために別な方法があるのだろうか。
方法としては、再犯を繰り返す犯罪者を永久に隔離する事が考えられる。これが認められるのなら犯罪を犯さないものにとっては幸せなのかもしれないが、犯罪者の数が増えれば収容する施設、軽犯罪、重犯罪の区別をどのようにするかが問題になってくるだろう。また収容者の人権問題も関係してくる。

それ以外の方法としては、教育を行う事が考えられる。人権等の問題を考えればこれが一番無難な方法だろう。ただこの難しさは、人が人を教育するところにある。受ける側の問題は、その人格が画一的ではない点であるし、教える側も聖人君子ばかりとは限らない点である。

 結論は、今の時点で重要なのは、刑務所の充実ではなく再犯の予防策の実施である。教育効果と再犯率のデータを取ることである。教育方法による効果をある程度パターン化する事が大事だろうしそれを増やしていく事で効果的に抑止する事が何年或いは何十年ヶ後には成果を上げる事が可能だと考える。