北海道新聞の記事。
療養病床6500床、「介護」に転換 道が素案 総削減数は8700床(10/30 02:17)
医療費抑制に向け国が削減方針を示している療養病床について、道は二十九日、二○一一年度末までに道内に約二万七千ある病床の三割に当たる八千七百床を削減し、このうち六千五百床を介護施設などに転換する目標を明らかにした。
これに伴い、北海道の地方にある公立病院のうち病床稼働率が70%を切る病院の大部分を診療所に移行させるようにするらしい。
地方の公立病院は、町立病院、国保病院といわれる病院で、ベット数も100床以下のところが殆どである。
北海道の地域性から、町の面積は多いが人口密度は少ない町村が殆どである。まだ日本が余裕があり、まだ先進的医療にお金が掛からなかった時代である。そのころは、北海道の殆どの町村で病院ないし診療所を持っていた。
しかし、高度先進医療の時代が来ると同時に、多くの病院の治療にお金が掛かるようになった途端 、それぞれの治療にかかる医療費が高騰しだした。
そのためいくら医療費を削減しようとも、全体の医療費は増加し続けている。
もし、日本に住み同じ日本人であるなら、東京に住もうと北海道の田舎に住もうと同じ医療水準の治療を受けれることが本当である。
しかし、今現在医療にも地域格差が生まれようとしている。
同じ医療を受けようとしても、東京なら電車、バス、車で移動すれば多くの医療施設に手軽に行くことができる。もし、北海道の僻地に住む人なら、車で4、50分は間違いなくかかり、もし、高度な検査を受けるために片道2、3時間移動しなければならないのである。
実際のところ、今の北海道の町にある公立病院は、あまり役には立っていない。
何故なら、そこにいる医師の殆どは、ある分野の専門家であり、他の分野では、積極的な治療ができないのである。そういう医者が2,3年で入れ替わる。
もし専門的な治療が必要なら、その町の周辺にある都市の病院を目指さなければならないのである。
また、現在そういった土地の病院の医師は2人か3人である。それさえも確保できないところが多い。そうすると内科と外科系の医師が一人ずつ。100床のベットがあったとしても、入院患者をどれだけ見れるであろうか。一日外来をこなしさらに入院患者をみるとしても入院患者は10人がせいぜいであろう。あるいはもっと少ないかもしれない。
そういった状況で、病院のベットの稼働率を70%以上に保つことは不可能である。
今、医師の不足が言われているが、都市部では、充分足りている状況である。そして、そこに地方から治療を受けにやってきている。そのため都市部に多くの病院ができても経営できる理由になっている。その病院も近年の医療費削減のためつぶれる所も増えている。
なぜ地方の病院の病床稼働率が70%以下かと言うと、一つは先程言った医師不足。さらに高度な検査ができる装置がない。あと、高度な先進医療をできるだけのスタッフがいないということが上げられる。
結果論から言えば、何もできない医療施設を作りすぎたということである。もう少し高度医療ができる施設をその地方、地方につくり、そのほかはサテライト化するべきであった。
もしそれを今からしようとすれば、多大な費用が掛かりさらに今ある都市部の病院の少なからずの数が廃業することになるだろう。
そういった改革をするのか地方を見捨てるのかといえば、今の政策は、コストのかかる地方を切り捨てようとしていることに他ならない。