「天高く馬肥ゆる秋」にふさわしい空模様である。遥か上空には筋状の雲がたなびくように浮かんでいる。既に吹く風は冷気を孕んでいる。しかし、冒頭の言葉にふさわしいのは、空だけで既に身近に馬は存在しない。なので本当に馬が肥ゆることを実感できないのが少し寂しい気がする。いつの間にかそういったことも過去の出来事になってしまったということだろう。話は変わる。女子マラソンの野口選手の話。これも金メダルの重圧ということだろう。余りにも周囲が金メダルの期待をするためそれに答えようとトレーニングを続け故障する。確かに、自分の存在感を証明するために走ることが選手の宿命である。あのスタートからゴールするまでの2時間30分余りの時間のために日々走ることが人生なのだから。その期待に答え結果をだす。それが喜びなのである。それにしても、高橋尚子さんにしてもそうだが、トップアスリートの練習量は常人には信じがたい。一日30kmは当たり前、その他に補強を繰り返しながら毎日練習するのである。それで故障をしないのが異常である。更にあれほど過酷な練習をしながら体重まで落とすなど人間としての限界付近を超える超えないのギリギリである。その限界の姿、或いは常人では考えられない速さ、重さ、技を見せてくれるのがオリンピックのすごさなのだろう。野口選手も、今頃落ち込んでいるだろう。更に無理しても出場するに違いない。それが4年毎にしかないオリンピックの宿命なのだろう。それをかわいそうと思うか、すごい根性と思うか、結果が全てを決める。