大分 vs 札幌

 土曜日の試合、録画で見ました。

 まだまだ暑い九州鹿児島での試合。北海道は既に朝晩は涼しいため札幌の選手の夏バテからの回復度合いが大分よりも優っていればこの試合勝てるかなと思っていた。

 試合は、最初札幌の勢いが勝り大分の陣内でゲームは進む。その中できめきれないところは、お約束である。まあこれに関しては、日本サッカー全体の問題でもあるかもしれない。

 20分過ぎた頃から何故か急に札幌の選手の勢いが落ちる。それと同時に最終ラインがゴール前に貼りつくようになり、全体がハーフラインより後ろに下がる。

 

 確かにゴール前はコンパクトに成ったが、相手に良いようにボールを回される。自分たちの体力のなさを感じているのか、相手に一点を与えないように彼らなりに考えた戦術なのだろう。

 それは自分たちの勝利を度外視し、相手に得点を与えないという強い意志の現れなのだろうか?なんて言っても説得力がない。ただ相手に攻められたから後ろにさがっただけ。

 相手に得点を入れられないようにするには、今の札幌にはこれしか守りようがないと言ったほうが正しい。先週の練習中選手たちが自分たちでミーティングをしたらしいので、その時にこの方法を決めたのかもしれない。

 しかし、相手に攻めさせてばかりでいては、自分たちのリズムは作れない。そのリズムを相手に渡してしまっては、正しくサンドバック状態で何時相手にシュートを決められるか見守るしか無い。そして大分のCKからフリーになった選手がペナルティエリアの外からシュートを打たれ見事ゴールを決められる。

 その後も大分の攻勢は続いたが、何とか相手の得点を一点に押さえたというしか無い。前半終了。

 後半大分も戦術を変えてきた。或いは試合開始直後は前半後半相手の動きを見るために攻めに出ないという方針なのかもしれない。

 札幌は近藤選手を入れ後ろをスリーバックにする。前に選手の数を増やしたことと大分が一点を守る為に守備を固めることを選択したことで徐々に札幌のボールが廻るように成って来た。

 ボールが廻ることで札幌のリズムで攻撃が進み、近藤、古田、高木そして最終的に藤田選手がシュートを決める。何時もはどこかでボール回しに失敗するところで上手く繋がった。

 同点に追いついたところで、大分も攻勢に出る。お互い攻め合うがシュートは大分の方が上手く枠に行くことが多くヒヤヒヤする場面が続く。

 

 そして札幌が攻め上がり芳賀選手がゴール前に上げたボールを大分の選手がペナルティエリア内でハンドの反則。偶然あたったものかもしれないが、両手を上げていたので故意と言われても仕方がない。あれは不味いプレー。

 札幌は、幸運なPKを内村選手が決めて同点とする。その後は、大分が得点を入れるため札幌陣内に攻め込むが何とか札幌が凌ぎ、札幌が久しぶりの勝利。

 お互い、下位に沈む今シーズン。その原因が図らずも出てしまった。それは守備力だろう。相手のリズムに成ったときにそのリズムを切るための方法が無い。相手のミス待ちのところが非常に大きい。

 勝つことのできるチームは、相手にリズムを渡さないかリズムを奪い取る方法を知っているチームである。

 相手の攻撃を耐えるだけでは、自分たちのリズムは生まれない。今回札幌のDFは、オフサイドトラップを掛けようとしなかった。相手のリズムを止めるにはシュートを打たせない或いは、その前の守備でオフサイドにすることによって相手の戦意を消失させる。

 

 しかし、札幌は相手の選手にマンマークで一緒に着いて行くことが多い。守備の対応が上手ければそれでも良いのだが、如何せん相手にマークをずらされたり抜かれたりする方が多い。選手は一生懸命動いているのだが、その動きが一体ではない。個々の選手の能力で相手の攻撃を跳ね返そうとする。

 当然、相手の能力が上回れば簡単にシュートを打たれるのは道理である。札幌の選手に言えることは、危機察知能力に劣るということである。お互いにそうなのだが、自分たちの守備エリアが無いため、お互いにかぶり空白地帯を簡単に作られやすい。そのため相手にシュートを打たれる。

 そう簡単にシュートが決まらないため、ザルのような守備でも無得点に抑えられるが、やはりゴール枠内に何本も打たれては何時かは得点が入ってしまう。幸運は長く続かない。

 やはり何度も言うようだが、札幌に足りないのは、安定した守備ラインのコントロールと組織的な守備能力だろう。その形が2年経っても決まらないというか出来ないのが今の位置にいる理由である。

 いくら一生懸命前で守備をしても後ろがあれだけ下がっていては、前の選手は一生懸命無駄走りをしていることに成る。あれなら前であんなにボールを追いかけることはない。それこそ一生懸命やっていることのアリバイ作りでしか無い。

 今シーズンも残り僅かとなり、そろそろ次のシーズンへ向けて何かを掴むことが必要である。札幌にとっての課題は、DFのハードワークをいかにさせるかである。相手に得点を入れられようとも下がっては何時まで経っても能力は上がらない。

 ここは失点を恐れず、出来る限りDFラインを上に保つことをさせなければならない。そしてもっと運動量を増やす必要がある。それで後半足が止まるようならその時点で見切りを付けるべきだろう。

 あの年齢で息が上がる様では、サッカー選手としてのレベルに今後も達しない事は明らかである。他の仕事を探したほうが本人のためである。

 来シーズンに向けて札幌がしなければならないのは、ディフェンス力の強化である。