リラ冷え

 雨上がりの朝で、空は雲に覆われどんよりしている。気温は低く4月の頃の陽気に戻ったようである。
 北海道は、5月下旬から6月上旬に掛けてこの様に寒い日が続くことがある。丁度ライラックの花が咲く頃に寒さが訪れるために「リラ冷え」と格好良く呼ばれることがあるが、道民の全てがこの言葉を使うわけではない。その言葉通り、ライラックの花が満開に咲き誇っている。

 この様に北海道に本当に暑いと言える期間が続くのは、7月の後半から8月の前半しか無いだろう。そのほんの僅かな間の暑さに耐えきれず、北海道の家庭にもクーラーを設置する所もチラホラあるが、稼働するのは1年の内の1ヶ月程度なのである。

 その暑い夏を待ちわび、春と秋と冬を過ごすことが道民の常識であり、たまに東京などに行き、あの蒸し暑い中満員電車に毎日揺られることを考えたら、それだけで苦痛だろうなと思う。

 まあそれでも人間は環境に適合して生きていく動物であるから、直ぐにその環境になれてしまうのだろうなと思う。却ってなれた後は、一年の大半が冬という環境に耐えれ無くなってしまうのかもしれない。

 と言うわけで、一時期の暑さでストーブを炊くことを止めていたが、つい朝の寒さでストーブのスイッチを入れてしまった。
 冬の寒い時期の寒さに比べたら今日の朝など暖かいくらいなのだろうが、すっかり環境に適合してしまったたるんだ自分が存在する。

 これで本当に氷河期に突入したなら、人は生き延びれるのだろうかと心配になる。