悪貨は良貨を駆逐する

 曇り、空一面を覆っている雲のおかげで、外の気温はマイナス0度近く、昨日のあの寒さと比較すれば格段の違いである。

 「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉がある。これは経済学でよく使われる、トーマス・グリシャムの言葉である。

 例えば最初に発行された金貨の金の含有量が99.9%でそれがもっぱら使われていたとする。そしてその後、金の含有率が80%のものが発行された場合、市場では同じ価値で扱われる場合、最初に発行されていた金貨は、後に発行された金貨より金の含有量が多い分、価値が発生する。

 

 すると次第にその古い金貨は、収蔵され市場には出廻らなくりしまいには、金の含有量が少ない金貨ばかりに成るという話である。

 このように経済学の一つとして語られる他に、良いものが悪いものにとって変わられるという例えに良く使われる。


引用 産経ニュース(http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110216/crm11021607150004-n1.htm) 

AKB詐欺 埼玉の高2生立件へ「ツーショット券売ります」6万円詐取容疑

 インターネットの会員制サイト「mixi(ミクシィ)」でアイドルグループ「AKB48」と記念撮影できると偽り現金をだまし取った疑いが強まったとして、警視庁少年事件課は15日、詐欺の疑いで、埼玉県内に住む県立高校2年の男子生徒(16)を16日にも立件する方針を固めた。捜査関係者への取材で分かった。

 mixiは元々、招待制のこじんまりしたSNSで始まった。以前からあった匿名性の掲示板とは一線を画し、身元がある程度保証された形だった。

 

 その中でのコミュニティに参加する多くの人は善良であったとも言える。しかし、何時しかそれを運営する会社は、もっとその仕組を広げ収益をあげようと思いついたのか、その招待制という縛りを緩くし、誰もが何時でも参加できるようにした。

 するとその仕組を悪用しようとする輩もその便利さに便乗して暗躍するようになる。詐欺、援助交際など色々な事件が起きるように成り、今までのどかだった風景が何時の間にか殺伐とした風景に変わり始めた感がある。

 例えば、オークションサイトもそうである。始めの頃は、不正を行う輩が少なかったのに、徐々に悪人が入り込むようになると、ネットの匿名性が仇と成り、どれが本当でどれが騙しかわからなくなってくる。

 本当に有用なものだとしても、どこかでババを引くことが多くなれば、一種の賭けに近いものになってくる。

 運営側は、そのような不正を起こさせるような仕組みを取り除く必要があるのに、一時の隆盛に水を差したくないためか、責任を自己責任という言葉で置き換えようとする。

 自己責任は簡単な言葉であるが、それがまかり通る商売に誰が近づくだろうか?

 このように最初は、参加する多くの人が善良で有ったものが、徐々に参加する人の質が変わり、そして何時かその仕組みそのものが衰退してしまうということは良く起こる。

 その仕組を永続させようとするなら、悪貨を駆逐するような仕組みを作らなければならないことを知るべきである。

 まあ最初から、胡散臭いオークションサイトや、グルーポンサイトも存在する様である。こういうモノには最初から近づかないほうが吉だろう。