雨が時折ぱらつく、曇り空である。気温は、5,6度くらいだろう、外に出した手が微妙に凍える。
引用 毎日新聞(http://mainichi.jp/select/biz/news/20110507ddm003040066000c.html)
静岡・浜岡原発:全面停止へ 経済界、猛反発 生産混乱、拡大を懸念
中部電力の浜岡原発が政府の要請を受けて全面停止する見通しになったことに対し、経済界からは「東日本大震災で生じた生産の混乱が長期化・拡大する可能性がある」と反発の声が上がっている。夏場に電力が不足する東京電力管内に生産拠点を持つ企業は、中部電を含む他電力エリアへの生産移管を計画していたケースも多いとみられるが、中部電の需給も逼迫(ひっぱく)する見込みになり、「これでは企業は生産を海外に移さざるを得なくなる」(日本経団連幹部)との悲鳴も上がる。
引用 中日新聞(http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2011050702000012.html)
「浜岡」停止要請 国民的議論を始めよう
菅直人首相が定期検査中の中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)3号機だけでなく、4、5号機の運転を停止するよう要請した。原発か、安全か、エネルギーをどうするのか、議論を始めるべきだ。
五日、浜岡原発の緊急安全対策を確認に訪れた海江田万里経済産業相に対し、川勝平太静岡県知事は、中電が示した津波対策を「付け焼き刃」だと断じ、「3号機が動かなければ、4、5号機は自然死」と、中電と原発に対する懐疑をあらわにしたという。
浜岡原発は、いつ起きてもおかしくないと言われて久しいマグニチュード(M)8級の東海地震の想定震源域の上にある。揺れを生む断層面は、十五キロと直下の浅いところにある。東京や名古屋にも比較的近い。
福島第一原発の惨状を目の当たりにして、地元住民の原発に対する不安は高まる一方だ。本紙が静岡県内三十五市町の首長に対して実施したアンケートでも、十五市町の首長が、中電の対策が十分ではないとして、点検中の3号機再開や、計画される6号機新設への懸念を示している。
引用 日本経済新聞
浜岡原発停止は丁寧な説明が要る
菅直人首相は中部電力に対し浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の全面的な運転停止を求めた。防潮堤の建設など津波対策の完成まで念のために止める考え方は理解できる。しかし突然の発表に国民はかえって不安を募らせたのではないか。夏場の電力不足への備えは大丈夫か。もっと丁寧に説明してもらいたい。
今回の菅総理の声明は、唐突だった感は否めない。国民的論議の前にこの先の日本の原子力政策の転換を表明したことに他ならないからである。
国民は、今原子力発電に何を求めているかと言えば、それはまさしく「絶対安全」の一言である。もしそれを電力会社から発せられるなら、原子力発電の継続に「Yes」と答えるだろう。
その答えを待っているのだが、その返答が曖昧である点が不安を呼ぶ、それなら原子力発電所ではなく別な方法で発電できるなら必要ないと考えている人が大半だろう。
「絶対安全」というのは、全く事故を起こしてはならないという意味ではない。ある程度の事故ならば国民は目を瞑るだろう。実際今までも絶対安全と言いながら軽微な事故が起こり、更に事故隠しなどという本来あってはならないことがあっても、国民は、見ないふりをして原子力政策に反対してこなかった。
それもこれも、原子力発電所が田舎に建てられ、本来の消費者の目の届かないところで発電されていたためである。もしそれが大都市の近くに建てられていたなら、その地域の住民はこぞって反対しただろう。
いくら利益を得ていたとしても、自分たちが何らかの被害を受けることはどんなことがあっても反対するというのが大方の人間の性である。
そして、今回の事故は、いくら遠く離れた田舎に建てられた原子力発電所でさえも、一度重大事故が起きれば、その被害は、遠く離れて生活している自分たちにも被害が及ぶことが判ってしまった。
今後の原子力行政は、地震や津波への備えとは別に、万が一、そういった重大事故が起きた後の、緊急の安全対策に重点が置かれ、その方面の議論が重要になるだろう。
重大事故の備えは、何重の備えに越したことはない。その備えとは全く別に、想定外の事故が起きた時、その事故の影響がその施設敷地内で収束できるかということである。
原発でいえば、何らかの力が加わらなければ、自然のまま安全に停止することだろう。簡単に言えば、エネルギーを発生させるには必ずあるキーとなるものが必要で、その供給を停止すれば自然と消えてしまう仕組みである。
その方法が確立されて初めて「絶対安全」な原子力発電と言うことになる。それが不可能なら、地震国の日本で敢えてそれを遂行する理由が見当たらない。
更に今後は、原子力発電所に対するテロ行為の備えも重要になり、それを考えると今の原子力発電所に絶対安全は無い。もし今、浜岡原発に限らず他の原発が重大事故を引き起こした場合、本当に日本が終わってしまうことになる。