倍返しの世の中

 晴れ時々曇り、気温は10度を下回り、吹き付ける風は冷たい。


 本当に人間は、他人の不幸が大好きである。その代り自分の幸せは大好きな自己愛の強い人が増えているのだが。

 「人の不幸は蜜の味」という言葉通り、マスコミと呼ばれる人たちが大群のように押し寄せる。そしてそれと同時にネットでも不幸な人を作り出そうと必死に活動する人間も存在する。

 自分の不幸は本当につらく悲しいのに、他人の事なら左程気に留めないのは、出来事に対する感情移入が足りなくなっているせいだろう。

 人の不幸せを自分の事のように感じるには、相手の立場になり変わることでしか感じることができない。簡単に言えば、自分にその不幸が訪れたらと思う心である。 他の人が殴る蹴るの暴力を受けたらその痛みが自分にも感じられるほど感情移入が出来たら、相手を殴ることは不可能である。

 もし、相手に不幸を味あわせたなら倍になって自分に帰ってくる世界が有ったなら、きっと世界は変わるだろう。何故なら争い事は不可能になるからである。

 そうなれば、昨日のようなサッカーの試合もできなくなる。それは、こちらが1点入れたら必ず相手に2点入れられるからである。試合が始まったと同時に相手にどうやって得点を入れてもらうかという戦いが始まるのだ。

 戦争であっても、相手が核爆弾で攻撃してきても必ずその代りに2倍のエネルギーが戻ってくるのである。それなら相手に攻撃してもらった方がずっと良い。

 断っておくが、倍返しを受けたからと言ってそれがまた倍に返るというルールでは無い。返るのは一回だけである。そうでなければ、一発大砲の弾で攻撃しただけで世界は消滅してしまう。