バスケットボール問題

 曇り、空からちらちらと小雪が舞い落ちる。気温はマイナス15度以下と冷え込んでいる。


引用 朝日新聞http://www.asahi.com/national/update/0116/OSK201301150142.html

阪市立桜宮(さくらのみや)高校バスケットボール部主将の男子生徒(17)が顧問の男性教諭(47)の体罰を受けた翌日に自殺した問題で、橋下徹市長は15日に記者会見を開き、「(男子生徒が所属していた)体育科は生徒の受け入れ態勢ができていない」として、今春の体育科とスポーツ健康科学科の入試を止めるべきだと市教委に伝えたことを明らかにした。

 この問題、

 「高校のスポーツ指導に体罰が行われ、それを苦に高校生が自殺した。」

 解決策は?

 「高校生以下のスポーツ指導に体罰をやめる。」

 「その具体的方法はどうすべきか?」

 の順に進み。解決策の発表が行われると思っていた。

 これを機に文部科学省から各地の教育委員会に指導が入り調査が行われ、各地でどのような状況であるか新聞報道がされている状況である。まだ解決策は決まっていない所である。

 そして、大阪市の橋下市長の対応はどうか?

 2008年当時は大阪府知事であったが、この時、橋下市長は、少しの体罰なら容認するという発言があった。この時、大阪府の公務員とやりあっていた時代で、教育についても教職員組合と対立していた時代である。少なくともこの頃は体罰を容認していたと思われる。

 今回の問題が起きた時、橋下さんの頭の中にこの当時の発言が頭をよぎったのだろう。すぐさま、体罰問題に反応し、体罰は問題であるという発言を行った。

 これに関しては、自分の過去の発言によりその原因の一つとして火の粉が降りかかることを怖れたためと思われるが迅速な保身行動であった。

 そして、その問題を大阪市の市立高校である桜宮高校の体育科の問題に矮小化し始めた節がある。これは、世間の空気を読んだ行動だと思う。世間の批判は、桜宮高校に有るうちに、そこを抑えれば大阪市の責任問題はそれ程追及されないと考えたのだと思う。

 その理由として、市立高校は、大阪市が管轄する学校であるためその管理責任は大阪市にある。今後の責任問題を追及されるとしたら桜宮高校の関係者と大阪市、とりわけ大阪市長の責任問題が出てくるはずであった。

 その追及を防ぐため、今回の問題は、桜宮高校の体育科の教師が悪いという流れに持っていくために、この高校の体育科を廃止という流れで幕引きを図ろうとしている節がある。

 そこに有るのは、迅速に問題を解決するために先頭を切って走る大阪市長の姿を世間に見せ、本来ならマスコミの批難の矢面に立つ所を逆にマスコミの報道を自分の活躍の姿を映し出させるようにすることに成功した。

 まさに、マスコミの中で生きてきた経験が生きた場面だろう。もし、このまま行けば、体罰問題を解決した市長として名を残せるのだから万々歳である。

 この辺りの、場の空気を読む力は素晴らしい。ある意味称賛に値する。政治家の多くはそのように行動することで困難を切り抜ける。政治家としては有能なのだろうと思う。多くの市民はその姿を非難することは無い。

 しかし、このことでやはり不利益を被る人間も出てくる。その人たちとして、今現役の体育科の生徒だろう。また、今年の入試で入学をしようと考えていた生徒たちもそれに含まれる。

 本来なら、この生徒たちに過失は無い。何故なら暴力を振るったのは体育教師であり、その体罰の被害を受けていた被害者の側であるからである。その責任があるとしたら、体罰を見て見ぬふりをするか、その体罰を受け入れその体罰教師を尊敬していた人間もいたという位だろう。でも、その連帯責任を高校生に求めるとしても無理がある。できるとしたら、その現役の高校生たちが後に社会人になり、子供たちを指導する際、体罰では無い方法で子供たちを指導してもらうということだろう。それ位のものである。

 しかし、日頃、弱者に対して自己責任を求めることの多い橋下市長は、その高校生にも相応の責任を取らせるつもりの様である。


 最初に上げたこの問題、更に桜宮高校の教師の総入れ替えを要求を市長は行ったらしい。これも世論で校長の管理能力の無さが喧伝されたからだろう。ここぞとばかりその世論に乗って突き進む様である。確かに大衆の要求を敏感に感じ取りそれに合わせた政治を行うというのも一理ある。

 しかし、今回の事件、桜宮高校という一高校の問題として片付けられかねない状況に流れは向いていると言えるだろう。本当なら全国の体罰を暴力として行っている無能な指導者を排除する切っ掛けになるべきことである。

 この件で、戦々恐々としている指導者もさぞかし多い事だろう。その指導者たちを一度その役割から外れてもらい、指導法を見直すチャンスだと思える。しかし、この成り行きでは、一過性のものに終わりほとぼりが冷めたらまた熱血暴力指導者が復活するのは目に見えている。

 解決策の一つは、やはり通報制度が必要だろう。バスケットなら5ファールで退場である。もし通報回数が5回を超えたら指導者として引退というルールを作るべきだろう。