アルジェリアの件

 曇り、少し朝やけ気味の雲が浮かんでいる。気温は相変わらず低く、今朝はマイナス20度近くまで下がった。


引用 時事通信http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013011800098) 

北アフリカアルジェリア南東部の天然ガス関連施設で日本人を含む外国人約40人が人質に取られた事件で、国営アルジェリア通信は、17日夜(日本時間18日未明)、人質救出のための軍の作戦が終了したと報じた。サイード通信相は、犯行グループのイスラム武装組織メンバーを多数殺害したほか、人質にも死傷者が出たことを認めた。事件は発生から2日目に流血の結末を迎えた。

 確定情報では無いようだが、人質となっていた日本人の内、数名はこの作戦のために死亡した模様である。作戦自体、人質救出作戦というより、実質、敵を攻撃するための作戦で、その過程で人質になっていた人たちが生き延びたというところに近い。

 もし、日本国内でこのような事件が起きれば、人命尊重の立場から外国軍の撤退を求めたことだろう。国の違いというよりも、戦地と平和な国との違いである。


 平和な国日本でこのような事態が今後起きる可能性は無いとは言えない。それが避けられている理由の一つに、やはり自分の命を失う危険性が低い方が生きやすいという事情が、一般市民、裏社会の住民に共通している感覚だからだろう。それが一度破られれば、何時命を失うか判らない世界になり、裏社会の人間としてもおちおち商売をしていられないということである。平和だから、色々な犯罪を起こし、それによって得られる利益を使うことができるからである。


 このような人質救出作戦で問題となるのは、どこまで犯罪者側に譲歩するかである。昔、日本で起きた日本赤軍によるよど号ハイジャック事件というのがあった。その時の日本政府は、人の命は地球より重いという言葉を残した。

 犯人たちは、北朝鮮へ亡命する結果となったのだが、あの時のよど号で人質になっていたのは、乗員乗客138名だったようだが、もし、犯人がこの結果数千数万の犠牲者を生むテロ事件を起こしたとしたらというパラドックスがある(実際の話では無い)。

 今回、アルジェリア政府にとって、これは今後何千何万の被害者を生むかもしれない敵との戦いである。更にこの戦争に負けてしまえば自分たちの命や権力を失う結果につながるとなれば、日本の要求など呑むはずもない。その辺りの事は、日本政府の殆どの人間が判っていたはずである。

 安倍首相がシリア大統領に電話で、人質の人命を優先にと訴えたと言うが、その効果の程を信じていたわけでは無いだろう。それが戦争であり、人と人の殺し合いに対して人の命を軽んじる世界なのである。そこに、人命の重さなど存在しない。

 この、人の命を最優先として、如何に戦争を起こさないようにするか、それは、日本の主権を守るという中で、本当にそれが実現可能なのか国民が今一度考えなければならない時だろう。