新一年生

 晴れだが薄く靄が掛かっている。気温はマイナス1度。

 ここ数日の気温上昇は、どんどん積もった雪を小さくする。この気温が1週間続けば日向の雪は消え去るだろう。来週は4月だから何時もの雪解けより遅いくらいである。

 でも4月の入学式の頃は、良く雪が降ったりした記憶がある。本州では桜の花びらが舞う景色が見られるのだろうが、北海道は雪の花びらが舞う事が良くある。それも北海道の周囲を冷たい海流が流れるからである。

 

 今年の新一年生は、どんな気持ちで新しい生活に向かうのだろう。きっと大きな夢や希望を持ちながら新しい一歩を踏み出すのだろう。

 そして楽しい事や辛いことを経験しながら進み続けなければならない。それが人生というものだと、その経験をはるか昔にした大人は知っているのだが、その経験を上手く伝えることができない。

 却って自分たちが味わった苦しい経験が人間を成長させるのだと勘違いして、無理やりその苦しかった思い出を新人に味あわせたりする。

 そうして、自分のコピーを作り自分が陥った不幸の連鎖を果てしなく続けようとする。本来なら不幸の連鎖を断ち切れば済むはずなのにそれは許せないことなのだろう。

 きっと人間の優しさを知る人は、その優しさを上手く伝えられないような不器用な人が多い。人を不幸の谷に陥れようとする人間ほど、器用に人をだますものである。

 きっと、新しい生活に慣れないうちは、その優しい言葉を掛けてくる人を信じてしまいがちである。それが本当なのか嘘なのか眉に唾してみることが必要である。