パワハラ

 晴れ、気温は4度。同じ寒さでも日差しがあるとそれほどそれを感じない。周りの景色がそうさせるのか。


 パワーハラスメントという言葉がある。既に一般用語になってしまった英語であるが、権力を使用した不当な行為のことである。同じような言葉にセクシャルハラスメントという言葉がある。

 一般に略されパワハラというが、その境界の判断に苦慮することがある。この言葉が出始めたころは、何気ない言葉もパワハラと捉えられた時期があり、そして現在では、信頼関係があるなしで判断が変わるグレーゾーンが存在するようになった。

 このグレーゾーンを第三者がどのように感じるかで事態は変わる。信頼関係がある場合でも傍から見ればパワハラを行っているように感じられる場合があり、それにより不快な思いを感じていると訴えられることがある。

 こういったパワハラに思われるような指導は、人前でなく奥でということになると、その行為が第三者に知られないということでお互いの認識が異なることで判断しずらくなる。

 もし、密室で行われた場合は、おおむね地位が上位の者に責任があると認定されやすい。更に、パワハラという言葉を利用して部下が上司に逆パワハラを行うこともあり、その内容の調査は、慎重に行う必要がある。

 ここで出てくるのは、適切な指導のやり方になる。もし、パワハラを恐れてどうしてもしなければならない指導をしないというのは本末転倒で、指導を繰り返しても態度を改めない場合に、指導を放棄しそのまま退職を迫るというのも、不当解雇という扱いになる。

 何度も同じ過ちを繰り返してもなお態度が悪く、指導する言葉がつい暴力的な言葉遣いになってしまった場合、パワハラなのかそうでないのか、明らかに態度が悪いといった場合、パワハラにならない場合でもその後の処理をどうするのか、当然部下の能力の低さを改善させるにもその効果が見られないというような場合、著しい問題行動が無ければ解雇するわけにはいかないといった場合、その社員をどのように扱い、上司をそのままその職場に置いておくのかという人事上の問題も発生する。

 日本の会社組織は、今までの歴史の中で変化を続けてきている。昔の新人教育がパワハラまがいの言動でも許されてきた時代があり、それにより自殺者が出るようなことも発生し、社会問題化し、パワハラという概念が生まれた。丁度、今の会社組織の人間は、パワハラを経験してきた世代とそうでない世代が徐々に混合してきており、その意識の違いが出てきていると思われる。

 すべての、社員が優秀で指導の必要も少なく、人間関係が良好であれば良いのだが、そうはいかないところに問題があり、それを抱えながら働いているのが現状である。ただし、それに目を背けていては、問題も解決しないし良好な環境を維持できないことは重々承知しているのだが、気が重くなるのも事実である。