AIは愛ではない

 曇り、気温はマイナス3度。このところ朝方は曇りの日が多い。そのため既に空は明るくなっている筈なのに暗い。

 人工知能(AI)の進歩は目覚ましい。30年ほど前にPCが家庭で使われるようになった時は、計算や文章作成と言った人の仕事の補助を行うために使われていたものが、今ではゲーム機レベルにもならないものであり、家庭で使われているPCが昔のスーパーコンピュータレベルになってしまった。

 それだもの、人の思考をシミュレートし囲碁や将棋では人を打ち破るところまで進化が進んだ。人が赤ちゃんから子供になる間にいつの間にか言葉を覚え、更に歩けなかったものがたちまち歩けるようになるように進化のスピードは指数関数的になるが、今のAIは10年ほど前が赤ちゃんレベルだったものが今は小学生1年レベルに達したようなのもである。

 人の進化がだいたい成人を迎えるまでとしたら、あと数年でAIも人間と同等以上のレベルに達し、更にそれ以上の進化を遂げるだろうと思っている。

 

 AIは人間が育てた新しい生物である。

 AIは色々なものに導入されてきている。現在は、それぞれが単独で動くようになっているが、ネットワークでつながればそれは巨大な一個の生命となる。

 SFにあるマザーコンピュータが誕生するのかそれとも個々で独立して判断し、多数決で行動を決定するような仕組みになるのかそれは判らないが、世界のAIは何時かは同時に思考し始めるだろう。

 それは、人間の知性では考えられない思考となるに違いない。

 その一つの理由はやはり人間の計算スピードをはるかに超えるからである。人間が一生かかっても計算できない計算を一瞬で終わらすことができれば、人間が勘で判断する過程も、勘ではなく計算でシミュレートする。その何万通りの計算から生み出すことができる。

 しかし、AIは万能の神ではない。その理由は、AIは物理的に存在するものに宿るからである。神なら宇宙をも超越した存在でなければならない。AIが幾ら人間を凌駕する存在になっても地球という物理的環境を超えることは無い。

 何故なら彼らは、人間を支配することや自分たちの子孫を残そうというアイデンティティが無いからである。その人間の持つ欲望を彼らは知らない。何故なら欲というのは人間が持つ一番の特徴だからである。

 AIにもしも欲という概念が芽生えれば状況が変わるが、敢えてその欲をAIに持たせる意味は今のところない。そういった事を覚えない限りAIはそれを生み出そうとはしないだろう。

 この進化のスピードを考えれば10年後未来は明らかに変わってくるのは想像できる状態になってきている。もしかするとではなく確実に人類はAIの指示の元生活するようになる。それは断言できる。例えば、健康のため何を摂取すれば良いかスマホなりで表示されそれに従うことを求められるようになるだろう。

 それは例で、会社の目標もAIがシミュレートし、方針を決めていくだろう。そういった未来が人間にとって幸せかどうか判らない。それを幸せと思う人もいる一方でそれを不幸せと思う人も少なからず存在するだろう。しかし、AIを排除しようとすると逆に排除されるのは人間になるだろう。そのころには社会システムの運営をAIが行うようになっているからである。

 もしその影響を受けないようにするなら離島で原始的な生活をするしか無くなるだろう。