北海道電力

 曇り、気温は3度くらい。今週はこのまま寒さが続くらしい。

 今日から5月というのに肌寒い。まだ、ストーブが欠かせない。本州は、既に日中20度以上の日が続いているのに、北海道だけが取り残されたような感じである。

引用 読売新聞(http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130424-OYT1T00296.htm

北海道電力が、家庭向け電気料金の値上げ率を平均10~11%とする方針を固めたことが、23日分かった。

 24日に経済産業省に申請し、9月の実施を目指す。認可が必要な本格的な値上げは32年ぶりで、北海道電は、泊原子力発電所(北海道泊村)が今年12月頃までに再稼働するという前提で、値上げ率を算定した模様だ。認可が不要な企業向けも同時期に10~20%程度引き上げる方針だ。

 泊原発全停止に伴う火力発電所の燃料費の増加が響き、北海道電の2013年3月期の連結税引き後利益は過去最悪の1440億円の赤字になる見通しになっている。昨冬の道内は全国で唯一、数値目標付きの節電が実施されるなど、寒冷地として冬の電力需要が高いことから、収支と電力需給の双方の改善につながる泊原発の再稼働時期を厳冬期の前に設定したとみられる。

 このニュースを最初に見た時、北電の原発は、泊にしか存在しないのでそれ程影響を受けるものかと疑問に思ったのだが、北電の発電量に占める原発の割合は44%にもなっていた。震災前は新しい原発を泊に建設する予定であったから、もっと原発に発電を依存しようと考えていたはず。

 

 北海道には大きな川が有り、ダムもそこかしこに作られている。何故水力発電が少ないのだろうと疑問に思う所である。そこで北電のホームページにアクセスしてみると、道内各地に水力発電所が建設稼働しているのが判るが、これでも15%なのである。

 それで今現在、その44%を占めていた発電を火力に切り替えて事業を行っている。その発電を水力に直ぐに切り替えることは不可能なのである。

 泊ができる前は、北電も水力と火力が主体だった。他の電力会社がこぞって原子力に移行する中、泊ができるまで時間が掛かった。それは、道内の水力発電の規模が大きかったという理由が有った。

 しかし、何故原発に舵を切ることになったか、それは、もっと儲けたかったからに他ならない。電力会社は、ご存知のように地域独占企業である。ライバルも無く、販売価格は保証されている。もっと企業を大きくさせるためには、電気をみんなにもっと使ってもらうしかない。しかし、発電量が限られていれば、売ることができない。水力資源は限られているし、火力は燃料を輸入に頼っているため価格が高い、となると原発が好都合であった。

 道内の販売電力量は、北電のホームページを見ると、昭和50年は、1億3千万KW位であったが、平成23年では、3億3千万KWに増えている。倍以上の消費をしていることになる。

 

 泊の原発は、平成元年から1号機が稼働し、順次3号機まで稼働していた。増えた分の発電はすべて原発が担っていたことになる。

 今現在、原発が稼働停止しているので、その分を火力で賄っていることになる。それだもの赤字になるのは必然である。原発の燃料は、既に購入しているため、只保管しているだけでは、何の電気も生まない。2重に燃料を買っているようなものである。

 では今後泊は稼働できるかというと、事はそう簡単では無い。この先の稼働に関しては、不透明と言わざる負えない。無駄であっても、国民が選択したのであれば原発廃炉にしなければならないのは当然であるからである。

 その選択は、まだ下されていないので、北電の社長も、盛んに原発稼働しなければ道内の電力は不足すると必死に訴えているのであるが、この裏読みすれば、自分たちの会社が潰れてしまうと言っていると同じ事である。

 まさしく、このままでは北電は潰れてしまう可能性がある。そういった準備をしてこなかったからである。更に直ぐにでも原発を稼働できると多寡を括っていたのであろう。

 そこが北電の営業センスの無い所である。正直に会社がつぶれる位大変なことを訴え、役員を減らし、更に役員報酬を下げ、社員の給与を下げる姿を見せるべきだった。

 何の企業努力も見せず、殿様商売をやっていたせいで、消費者にどう訴えれば自分たちの会社の価値が上がるかを知らない。

 この先、電力は値上げする都度に、自由化に向けた動きが強まるだろう。安価な電力が提供する企業も現れるだろうし、もしかすれば地域独占が崩れる可能性もある。

 

 消費者にとって、地域独占は、メリットが余りない。それは、売れば必ずもうかる商売をしていると新しい技術を開発しようとしなくなるからである。何故ならその新しい技術の開発は、まず一番に会社の利益が今後も永久的に確保される技術でなければならないからである。

 間違っても、今後電気の消費が減るような技術開発は、会ってはならないのである。技術は、大量消費に向かわせる方向へ向かう。消費者の利益となる低電力には向かわない。

 そこに競争が持ち込まれると、技術開発は違う方向へと進むはずである。更に新エネルギー、低コストの発電方法に向かう事は確実である。安い発電費用で、他の高い電気代の1割程度値段を下げるだけでどれ程競争力が付くだろう。

 現在国は、発送電分離を進めるようだが、思い切って地域独占を今の既存の電力会社で廃止すべきだろう。それだけでも地理的に近い、本州の電力会社は、否応なく競争しなければならなくなるからである。

 北電も、もし東北電力が北海道の企業に電気を売るようになれば、大変なことになるだろう。そういった危機感が無ければ、今後も経営が苦しくなれば電気料を上げるの繰り返しに成り、やがて消費者は、北電から電気を買うのをやめるだろう。