今日は晴れ、そして道路はできる。

昨日は、久々の大雪であった。50cm程度積もったところもあるようである。それでも雪質が乾いているため、それ程重くなく、除雪をするのは比較的楽な雪である。これが湿った雪だと、除雪も大変だし、積もった雪の重みで家がつぶれてしまう可能性もある。

 というわけで久しぶりに道内の交通網が破綻したわけである。こんな日は当然高速道も通行止めであり、更に開通しても速度は50km以下となってしまうわけである。
 
 そしてこの車が殆ど通らない道路であったとしても、除雪がされ管理されるわけである。本当にそれが正しい税金の使い道だと北海道に住んでいる道民自ら思うし、その予算があれば、古びた校舎を改築したり、住民の生活道路の補修や市道町道の除雪ももっと決め細やかにできるのであろうなと思う。更に上下水道の整備だったはるかに進むだろう。
 これは全て土建関係の仕事なのだから、政治家も働きかけやすいだろうと思うのだが、どうしても政治家はそんな半端な仕事より、箱物を作りたがる、さらにこれ見よがしにその建物の礎に、自分の名前を入れた碑を建てたがるものである。
 その一例が、北海道で言えばムネオさんである。あの人も公共事業は誘致した。そしてこの前もTVに写されていたが、道路財源で作られた地元までの高規格道路である。
 
 きっとあの人も、地元までの立派な道路ができてさぞかしご満悦だろう。しかし、それで本当に足寄の人の生活が豊かになるだろうか?大半の恩恵を受けたのは、東京を拠点とする大企業であり、そこに勤める人たちであり、更に言えばその法人税が落ちる都民だろう。
 
 何も生活は変わらない。更に言えば、その道路のために生活を奪われた人も大勢いる。道路のために立ち退いた人、車の流れが変わり、廃業する商店、食堂。その道で恩恵を受けるのは誰だろう。

 以前、このまま地方の病院が切り捨てられていくと高速道路なくして住民の健康維持はできないと書いた。しかし、それはやはり間違いであった。
 道路が立派になることで、住民は遠くへ移動するようになる。病院であってもそうである。田舎の診療所よりは、都会の病院のほうが施設は立派で医者も沢山いる。それでどうなったかといえば、赤字の診療所、病院はどんどん統廃合されることになる。

 そして地方から病院が消えていく。例えば100床程度の病院であれば少なくとも同程度の職員が必要である。それが消えてしまうわけである。その職員には家族がいるだろう。夫婦であれば少なくとも2人いるわけであるから、200人、子供がいれば300人。その数が町から一遍に消えてしまうわけである。
 大変な過疎化である。そして、病院が近くに無く不便であると感じた住民は、年をとればその健康を維持するために都会の病院の近くに引っ越していく。
 
 国土交通省は、道路が立派になった田舎の市や町や村の人口が増えて活気がもどったところがあるのか調査してデータを示して欲しいものである。
 北海道で言えば、そのようなところは何処にもない。却って人口が減ったところばかりで、増えたのは、札幌、苫小牧の沿線だけでは無いだろうか。

 都市間の移動時間の短縮は、大都会では有効である。更に物流なども。しかし、それはあるハブとなる都市を膨らませる効果があるが、そのハブの末端はどんどん疲弊していくのではないだろうか。

 国会議員、官僚は声高に道路を作れと叫ぶ。北海道出身の官房長官も同様に叫ぶわけである。それなら、北海道の足寄疔に内閣府を移転させて見なさいと思う。あなたたちの作った立派な道路を利用して政治を行ってみなさいと。
 道路を作りたければ、それを利用するようにしなさいといいたい。作った後は、地元住民で後を考えなさいというのは非常に無責任である。それが道内から選出された国会議員の役目だと思うのだが、そんなことができた議員をいまだかって一人も知らない。