財政の崖

 朝早くから少し吹雪いていた。気温もマイナス10度くらいだろうか、今年は例年に無く寒波と雪が酷い。

 もう年の暮れである。後一ヶ月と言っていた日はもう遠い。来週は新年を迎えてしまう。


引用 産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/121225/amr12122522210005-n1.htm) 

米国の「財政の崖」問題をめぐり、増税反対の草の根保守運動「ティーパーティー(茶会)」の影が薄い。野党共和党には茶会が支持する議員が多いが、「崖」の回避に向けて増税での議会の妥協が焦点となる中、共和党指導部から袖にされているためだ。米財政論議で存在感を示してきた茶会だが、財政の崖では「沈黙」(米メディア)を余儀なくされている。

 「財政の崖」というキーワードがある。崖という言葉に日本語の誤用ではないかという違和感があるが、その意味は、2013年からアメリカでは、財政支出を法律で強制的に減らすことになっている。今まで積み重なった国の借金を法律を作ってまで減らそうということである。

 

 ただし、それが心配されるのは、景気が良いというなら別なのだが、世界的な不景気もあり、国内産業が振るわないアメリカで、更に今まで景気回復を目的に行ってきた減税措置をやめるという2重の影響が2013年から起きるという事になる。

 ここまで書くと何やら日本の状況と似てきているように感じずにはいられない。

 アメリカも日本より前に国家財政の赤字が言われ、その赤字を減らさなければならないと言われ続けてきた。途中景気回復もあり、赤字は自然に減少するかに思われたのだが、そこにやってきたのがリーマンショックと言われる経済不況である。

 その影響をもろにかぶったアメリカは、それを抑えるため色々財政出動を行い、漸く落ち着いたと思ったら今度はギリシャ問題でEUの影響をもろに受けた格好になってしまった。そして今に至るというわけである。

 今の日本の国家の借金は膨大で、数年前国債の際限ない発行を止めるという事になっていたのだが、不景気や東日本大震災の復興のためにまたもや赤字を膨らませてきた。

 既にその借金は、1000兆円を超えているはずである。これは日本という国にとって今後返済が本当に可能か不明なレベルである。

 

 これに対して今の日本は、更なる国債を発行し、法人税減税を行うと言っている。それはアメリカが既に辿ってきた道のりである。

 これで景気が回復すれば問題ない。そして堅実に借金を返していけるなら。

 きっと今回のそれは、借金の取り立て人に明日返すからと言って箪笥から着物を持ち出し質屋に入れて多少返済するようなものになるだろう。

 だからと言って、何も有効な策は無いに等しい。できることならすべての国が赤字に陥り、全ての借金を棒引きしてもらうしかない。そうすればまた新しく世界はやり直せるだろう。

 だけれども世界は一枚板では無い。すべての国が借金国家では無い。不利益を被る国が必ずあるからである。

 でも、もしアメリカと日本がこけたなら、そしてそれに引きずられるようにEUが同じくこけたなら今までの世界は終わるだろう。そして世界秩序は新しい国によって引き継がれる。ロシアか中国かインドかはたまたブラジルか、全く新しいものに変わるだろう。

 その時日本は、どういった国の在り方をするべきなのか誰も未来を見いだせない。一つ想像できる姿は、江戸幕府が倒れ、アメリカが開国を迫ったあの時期の日本に戻る可能性が高いという事である。その生活に日本人が耐えることができればまたも復興できるだろう。

 それも全ての借金が無いという状態になっていることが前提である。その時もまだ借金が残っているとしたら、今の日本のローン地獄を想像しなければならなくなる。