虐待

 曇り、気温はマイナス10度くらいだろうか、少し風があるため良く判らない。日中は、プラス気温になるらしいので、少しずつ寒さは遠のくのだろう。

引用 毎日新聞(http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120214ddm041040096000c.html

 神戸市西区の介護付き有料老人ホーム「はぴね神戸学園都市」で、女性の入所者が顔をたたかれるなどの虐待を受けた事件があり、兵庫県警捜査1課と神戸西署は13日、元職員3人を暴行容疑で逮捕した。女性は検査で鎖骨とあばら骨が折れていたことが判明。県警は傷害容疑も視野に入れ追及する。

 時折このような事件が起きる。それが起こる背景として、医療関係者の心構えというのがある。

 その一つが、体の障害を持つ人、特にうまく言葉がしゃべれない人に対する、子供相手に対応するような言葉使いだろう。

 人間の本能の一つに、言葉が上手く出ない人が子供に見えてくることである。まだ言葉を覚えたての子供が、おしゃべりを始めたような状態に見えるため、既に大人であるはずの老人が子供のように錯覚してしまう。

 更に体が不自由であれば、介助が必要で、それに携わる人間は、更に相手を子供のように扱ってしまう。

 介護する人間に相手に対する尊厳が有れば一線を越えることは無いのだが、まだ精神的に成熟していない大人の場合、その境界が曖昧になり、その一線を越えてしまうようになる。

 それが愛情を注ぐ自分の子供ならいざ知らず、しょせん相手は他人である。その行動はエスカレートしやすい。
 たまに児童保護施設での虐待が報じられるが、躾と虐待は紙一重であり、そこに愛情が存在しなければ、その境界は曖昧になり、お互いが先鋭化する。

 それが相手が体力的に反抗が出来ず、言葉も上手くしゃべれないのであれば尚更行動に自制が効かなくなる。いわゆるいじめと同じ状態になる。

 こういったことは、どの施設でも起こりうることで、やはり職員の行動を随時監視する体制がどうしても必要になってくる。
 その体制が徐々に取りづらくなり、それが崩壊するとこのような事件が明らかに成る。これは氷山の一角で、今回の被害者以外にもそういった仕打ちを受けた入所者も多く居ただろう。
 
 さらに、こういった職員の存在は、他の職員のモラルを低下させ、そういった行動をとがめることを行わせなくなる。今回の、逮捕者が40歳という事から考えれば、この人の行動をとがめる人間も少なかっただろうことを想像できる。

 人間は、そもそも人を介護するように教育を受けていない。更に大家族が崩壊し、家庭内で老人を介護するような環境も経験していない訳で、社会人になって初めて人を介護する立場になるわけである。

 また、介護福祉士の待遇も決して良いものではなく、そういった職種に対する教育も決して満足のいくものではなく、きちんとした適性を問うものでもないのが現実である。

 今後もこういった問題は日常的に起きるだろうし、人対人の介護は、親子でも問題を起こしやすいものである。それが他人となれば尚更起きやすくなると言える。

 高齢化社会がどんどん進展すれば、当然こういった施設が増えて行くだろう。それに対して、どのように環境を作って行くのか非常に難しいものになって行くだろう。

 もし、可能なら機械的に作業をこなすロボットのようなものが介護の間には必要なのかもしれない。介護の愛情を求めるような社会は将来非常に贅沢なものになるだろう。