石川選手

 曇り、時折薄曇りの空から朝日が顔を出す。朝の気温は12度、少し暖かくなってきた。


 朝のテレビでは、石川選手が苦戦していた。若い時には、きっと攻めるだけで失うものは何も無かっただろう。しかし、年齢を重ねる程に自分で背負うものが多くなり、それを守ろうという気持ちがプレーを委縮させている。
 
 普通ならまだやんちゃをしている時期だろうが、彼は16歳くらいの頃から大人の世界に飛び込み、将来を期待されてきた。それと同時に大きなスポンサーが付き、それなりの活躍をしなければそれを失う事にもなる。更に周囲の期待は、何時かアメリカで連勝する彼の姿を期待してきた。

 もし、その期待を裏切れば、今の地位を失ってしまうかもしれないという重圧が画面から伝わってくるようだ。もし、出場するだけで大部分の目標を達成したというならどれだけ楽にゴルフができるだろう。さらに、成績が悪ければ画面にも映ることが無く、自分だけにつくカメラも存在しなければゴルフをすることに専念出来るだろう。

 そして、カメラは球を打つ瞬間だけでは無く、それ以外も自分の姿を取り続ける。その奥で、何百万人の日本人が彼を見つめ、更にスポンサーが見ている。

 しかし、かれも大人になってしまった。このまま普通より上手いプロゴルファーになってしまったら、彼を見捨てて去ってしまうだろう。それを想像することが怖いのだろう。

 そう考えながら、途中で見るのを止めてしまった。