マイクロソフトの凋落

 曇り、気温は朝の6時で9度。風が無いせいか少し暖かい気がする。

 IEのセキュリィティホールについての問題が波紋を呼んでいる。普通の家庭では、PCを購入した際、ブラウザーをどれにする余り気にしていない人が少なからずいる。昔から使っているからという理由でIEを選ぶ事が多いだろう。

 更に、以前からOSを購入後インストールする際、IEは自動で導入できないようになっているが、メーカー独自のインストーラーを使えば、まずIEをインストールしてインターネットに接続しなければならないため普通はIEが利用されている。

 そのため、自分が使用しているブラウザーが何なのか知らない。あるいは、ポータルサイトのヤフーやグーグル、bingの検索窓をブラウザーと勘違いして覚えている人も多いだろう。

 今回の騒動で、殆どのユーザーが一度IEから離れることに成る。この数か月後には、世界中の殆どのユーザーがIEを使用しないことに成るだろう。

 

 実は、これはWEB製作者にとって朗報と言えるかもしれない。その理由は、IE独自仕様を気にしなくて済むからである。多くのユーザーがIEを使用していた時は、WEB製作者がWEBコンテンツを作る際IEの仕様を基準として作成していた。そのため極端な話IEで動けば問題は無いと思われていたし、それで他のブラウザーで動かなければIEを使用してくださいと言えた。

 それはIE7の時代まで続いた。しかし、EUブラウザーが購入時に既にインストールされているのは独占禁止に違反するという理由から巨額の賠償を求められ、起動時に自動的にIEがインストールできなくなった頃からブラウザーIEが占める割合が減少してきた。そのため、WEB製作者もユーザーに対してIEを使ってくれとは徐々に言えなくなり、他のブラウザーに対応する必要性が生まれ始めると、今度は、IE独自仕様が却ってWEBコンテンツ制作の障害になってきた。

 他社のブラウザーは、少なくとも現在HTML5という規格に準拠し、ブラウザー独自の規格を持たない仕様になってきたため、IEも徐々にバージョンが上がるたび独自仕様を減らしてきた。それはそれで、バージョンが上がるたびにユーザーを切り捨ててきたことに成るし、IEのバージョンもOSによってはインストールできないという問題も発生してきた。

 今回の件は、マイクロソフトにとってブラウザーの覇権を他者に譲ることが決まった事案だと言って良い。今後、マイクロソフト製のブラウザーの開発が止れば、今後のマイクロソフトの戦略に大きな狂いを生じるというか、これを失えば単なるPC用のOSを販売するだけの会社になってしまう。今の時代既にPC自体が既にスマホにとってかわられる状況に近づきつつあり、もしOS単体の事業しか行わないのであれば、今のような規模の会社として存続は不可能になるだろう。

 昔、IBMが辿った道を、今度はマイクロソフトが歩もうとしている。同時期にソニーの凋落が伝えられ、そういう意味で、時代の残酷さを感じている。