W杯

 晴れ、気温は15度だが、日中は30度近くに成りそうである。朝の太陽の光が地肌に突き刺さるように痛い。この空の下で働く人は大変だと思う。

 毎朝、5時からのW杯の試合を見ているのだが、攻めは鋭いがやはり負けてしまうと終わりという緊張感がゲームに漂う。

 ここまで来たチームはやはり実力があり、本当に攻守のバランスが良い。当たり前のように全力で走り、相手への当たりも激しい。

 4年前、スペインが華麗なパスサッカーで相手の動きを封じ圧勝したスタイルとはまた別の、激しく守り、スピードで勝負する戦いをどのチームもしてくるようになった。

 日本が目指したポゼッションからの攻撃は、決勝リーグに上がってきたチームはしていない。まさに4年間の間に、パスサッカー封じが作戦として広まり、日本のようにちんたらと歩きながら得点を入れようとする国は無い。その移り変わりの速さに日本だけが置いてきぼりにされたようである。

 日本の試合を見ているとその大きな違いは、パススピードである。確かにゆっくり蹴ることも有るがその殆どが強く速いパスである。それをコントロールして繋ぐというのが世界の中では当たり前に行っている。

 翻って日本はというと、ポゼッションにこだわるあまり自分の陣地の近くでゆっくりとパスを回すことが多いが、ゴールから遠く離れた所からパスを回していても何の脅威にもならないし、ポゼッション率がそれで上がったとしても決して良いチームであるとは限らないという事に尽きる。

 しかし、代表の試合では、強く速いパス回しを行っていた時期もあった。ヨーロッパ遠征で互角に戦った時は、今回のW杯よりもパススピードは速かった。パス回しのリズムの無さは、やはりピッチコンデションの問題だったかもしれない。

 荒れていない綺麗な整地されたグランドで正確なパス回しが出来ていても、荒れたところだと途端に精度が落ちる。その感覚は理解できる。それを同じ感覚でパス回しをするとトラップミスやとんでもない所にパスが出たりする。それを相手に取られてカウンターを受けるのが怖くてパススピードを落としたのかもしれない。

 しかし、却ってその遅いパスを相手に狙われた。ボールが集まる位置が本田と言うのも相手に狙われ、香川はドリブルが足につかない状態に陥ってしまった。

 日本人のプロフェッショナルは完璧を求める。多くのサッカーグラウンドは整備され平らな所が多い。それは少年サッカーの会場を見てもそうである。若いころから平らな所でしかプレーしなくて、ボールが不規則にバウンドしない所ばかりを経験すると、イレギュラーするピッチでプレーすると途端に下手になってしまうものである。

 できるなら少年時代は、少し整地不良の凸凹のピッチで練習した方が良いのかもしれない。ただ、怪我の危険性も伴うが。しかし、そういった感覚は大人になってからは中々身につかない。プロともなればそういった整地されていないグラウンドでは試合もしないし、却って非難を受ける。

 そういえば、去年の厚別のグラウンドが荒れていて、ホームチームであるコンサドーレからも非難されていたが、あの程度の状態でもプロの試合ができないと言っていたのだから、プロのサッカー選手もひ弱になっているのだと思う。

 良い環境で、プレーするのが当たり前だと、いざという時に実力を発揮できない状態になる。それが日本のサッカー界の問題になるだろう。

 それ以外にもやはり目立つのは、あの環境で試合をすると前半で足が止まってしまう事だろう。あの無尽蔵のスタミナの持ち主と言われた長友でさえ、試合から消えていた。それ程相手と比べれば見劣りする体力だった。

 今回の代表が見劣りするように感じるのも、もっとできるだろうという思いがあるからだと思う。初めてW杯に出場した時、日本代表が世界の強豪とどれだけ戦えるの不安視されていたのに、今では決勝リーグがノルマに成りつつある。それ程日本人の意識が変わったのだと思う。

 それだけに次のステップは、どんな環境にも負けない選手が大半を占めるチームに成ることだろう。