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引用 日本経済新聞(http://www.nikkei.com/article/DGKKASDZ30I5M_Q5A730C1MM8000/)
石油元売り国内2位の出光興産と同5位の昭和シェル石油は30日、経営統合することで基本合意したと正式発表した。まず出光が昭シェル親会社の英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルから33.3%の株を取得、2016年をめどに統合をめざす。両社の連結売上高は単純合計で約7兆6000億円と首位のJXホールディングス(JXHD)に迫り、海外展開を加速して成長を狙う。内需減少を背景に繰り返されてきた石油の業界再編は2強誕生で、最終段階に入る。
今の日本の石油元売りは以下の通りである。
- JXホールディングス(ENEOS)
- 出光興産(出光)
- 東燃ゼネラル石油(Esso、Mobli)
- コスモ石油(Cosmo)
- 昭和シェル石油(Shell)
JXホールディングスは、元は日本石油と三菱石油が合併してできた新日本石油と日本鉱業と共同石油が合併したジャパンエナジーと合併してできた会社である。
また東燃ゼネラル石油も東燃とゼネラル石油が合併したもので、昭和シェル石油も昭和石油とシェル石油が合併したもの、コスモ石油も大協石油、丸善石油、旧コスモ石油が合併したものである。
このように、石油元売りは国策(日本のエネルギー確保)の元合併して出来た経緯がある。昭和を生きてきた人にとって合併前の名前の方を覚えている人が多いのではないだろうか。
ちなみに、JX日鉱日石エネルギー(ENEOS)とコスモ石油は共同で販売を行っているので同じグループともいえる。
合併後につけられた名前に親近感を中々思えず、合併前の名前が気に成るということはしばしば起こる。例えば市町村合併の市の名前であったり、統廃合されたり経営が変わったりした高校、大学の名前など、これからを生きる人にとって拘りは無いだろうが、そこで生まれたり、出身校だったりする人にとって古い名前を何時までも覚えていたいと思うだろう。
話は横道にそれてしまったが、今まで石油は日本のエネルギー資源の重要課題であった。古くは昭和70年代から80年代に掛けて起きたオイルショックがその契機となった。国内で石油を賄えない日本にとって、石油価格の高騰は死活問題であり、当時高度経済成長の真っただ中で生きてきた国内産業が衰退するのではないかと思われていた。
そのための国のエネルギー確保のため、安定した石油元売りの必要性が求められ当時の経済産業省主導で再編が進められた。これを契機に石油備蓄や国内での石油精製が本格化したのもである。
そして第2のオイルショックというべき波が石油業界に起きている。それは、自動車や製造業で使われる施設の低燃費化である。
石油資源の枯渇化を見通して自動車産業は低燃費化と別な動力源を求め、製造業は、福島の原発事故後から起きた省エネの推進により、よりエネルギーを使わない方向に動きだし、太陽光発電などの自然エネルギーが台頭することで全体的に化石燃料を使用しない社会へ向かおうとしている。
今後もその方向性は変わらないだろうから、日本国内での石油の使用量は減るとみて間違いなく、石油元売りは、石油だけに依存するのではなく他の業態へシフトすることも求められ、それにより今後更に再編が進むと考えられる。
大きな利益を得る分野が登場すると、その領域で利益を得ようとする会社が雨後の竹の子のように次々と出てくる。そしてその分野が成熟し全体がある一定の利益しかもたらさなくなった時、業界の再編が起きる。そしてその分野の縮小傾向が進み始めると、リストラ的な再編が進む。石油元売りは既にその時期に達したという事である。
成長から衰退へ向かう時、人も活動を縮小しようとする。それが一番エネルギーロスが少ない生き方であるから。会社も社会もいったん成熟すると如何にその中で平衡を保つかという努力をするようになり、終末を迎える準備をするのである。