日本の生末

 晴れ、気温2度。

 

 すっかり並木道のイチョウは紅葉してしまった。今は見ごろだが、この葉が落ちた時の後始末がつい心配になる。

 最近のニュースで気になるのはこれである。

 引用 毎日新聞http://mainichi.jp/articles/20161016/k00/00m/020/028000c

国内の造船業界で再編につながる動きが広がっている。三菱重工業今治造船愛媛県今治市)など3社と商船事業での業務提携の協議を進めると発表。川崎重工業も船舶海洋事業を抜本的に見直す方針を示す。背景には中国、韓国メーカーとの競争激化や世界的な造船市場の低迷があり、国内メーカーは生き残りを懸け今後のあり方を模索している。

 世界の造船業界は、先進国を追い抜こうとする中国、韓国メーカーの台頭から過当競争になり、その結果造船不況に陥っている。

 その中で日本の造船業界もかなり痛手を負った。その一つは、不況によるリストラを急いだため熟練工が不足してしまったということだろう。

 こういった巨大なものを作るとき、その働き手は結局人間になる。現在、発達中の産業ロボットも自由に移動することができないためこういったモノづくりには向かない。

 ビルなどの巨大建築物も人の手が必要なのは変わりないが、その職業を3Kと卑下した付けが回ってきた結果、今までの熟練した技術をきちんと伝承できなかった。

 そして、それに追い打ちを掛けたのが、リストラだといってよい。

 今の日本の造船業界は、需要があるがそれを作り出す能力を失っているため、仕事があるのにこなせないという悪循環に陥ってしまった。

 それは、色々なモノづくりの現場にも言えることで、貴重な技術の伝承を失えば、また元の状態に戻ることは不可能に近い。

 いくら産業用ロボットが発達しても、自由に移動して作業できる環境はあと数十年かかるだろう。その間に、技術が失われれば技術力というのは消え去ってしまう。

 今の日本のモノづくりの現場はどの分野も同じように衰退しているといえるだろう。失われてしまった年月は大きい損失である。

 軽佻浮薄といわれ、汚い、きつい、危険という職業が必要以上にさげすまれ、更に若年労働者をアルバイト、派遣で切り捨てた結果が、今の少子化の原因といっても良いだろう。

 

 バブル崩壊からの20年間は、丁度それに合致する。ハッキリ言えばこの間の政治家が無能だった証拠でもある。だからといって今の政治家が有能というわけではない。

 目先の利益に右往左往し、大局を見逃すというのは良くあることである。目の前が見えていても、行動しなければ見えていないことと同じでもある。

 少子化からの脱却は、これからの子育て世代の環境を変えていくしか予防できないし、熟練の技術の継承は、60歳以上の世代の労働力を期待するしかない。

 後は、団塊世代の老後の介護に若年労働者を当てるという方向に進んでいるが、これは正しくない。団塊世代がこの世から消えた時に、その仕事に従事した若者たちに一体何が残るというのだろうか。

 

 もし将来の日本を考えるなら、若い世代は介護の仕事にあたるべきではない。介護は、老々介護にすべきだと思う。リタイアした老人の多くは、体力を持て余し、ウォーキングやジムで体を使っている。それは自分の健康のためだろうが、その体力を介護の仕事に振り向ける流れを作るべきだろう。