カッコいい車はどこに行った?

夜中に降った雪で、窓の外の世界は、白一色に染まっている。雨に濡れた枝に雪がついたため木々は樹氷のようになっている。道路は凍って歩きづらい事この上ない。 車が売れない時代が突然来た様に思われているが、実感として既に4,5年前からその傾向は合った。 日本の販売台数を年毎にしたデータがあるかと思いきや適当なグラフがネット上に存在しなかった。 そこで見つけたのが、自動車工業会のページである。ここで年毎の軽を含む乗用車の販売台数。 この表を見ると既に日本での新車の販売台数は横ばい或いは減少傾向にあり、ここ2,3年少し販売台数が増えたというだけである。戦後の右肩上がりと比べればそれは安定期に入ったということになる。 今後の傾向で言えば、この先も車の買換え需要だけで、お起きは伸びは無く、更に車の長期使用が増えれば、販売台数の増加は期待できないだろう。 販売台数の原因は、色々あるだろう。景気、他の娯楽、交通機関の発達等。しかし、最大の原因は、車は動けばそれで良いという意識が国民に広がったことだろう。 それを広めたのは、自動車会社の画一化したマーケティングにある。 その一つが、巷に溢れた同じデザイン傾向の車の多さだろう。その代表格が、オデッセイタイプの車の多さである。ホンダで売り出したこの車は、一世を風靡した。そうすると各メーカーがこぞって似たようなデザインの車を売り出した。 確かに売れる車は、大衆が欲する車のデザインと同一であるのは間違いない。しかし、その売れている車のデザインを幾ら模倣しても、次の新しいデザインは生れてこない。 マーケティングが発達していない時代のほうが、奇抜で斬新なデザインの車が作られていたのではないだろうか。 それが、売れる車をデザインするところから、各メーカー似たような車が大量に出回り、昔は、自分の運転している車が他車と違うという優越感から車を購入していたものが、どれを買っても本当に車を知っている人しか違いがわからない状態になってしまったら、車を買い換えようという意欲が消費者に沸くだろうか。 そのため、幾ら待っても次に乗りたい、乗り換えようと思わせる車は現れる事はなくなってしまった。 そして今の現状があるのだろう。それが今の日本の自動車産業の姿であると自分は思う。