人間力

 晴れ、少し白く濁った青空が広がっている。気温はマイナス10度近くまで下がった。3月の中を過ぎてもまだこの寒さが続くのは何時ものこととはいえ体調管理が難しい。


 こういった危機的状況で試されるのは、やはり「人間力」である。

 危機的状況に陥った時に必要とされるものを上げるとしたら以下のようになる。

 1.迅速な判断: これはある程度間違っていたとしてもすぐに訂正できる能力があれば判断は早いことに越したことはない。

 2.観察力: 常に周囲の状況を把握し、異変を直ぐに感じ取れる能力である。危機的状況においてはどうしても直近あるいは、一方向しか向いていない場合がある。常に周りを見回すことができる冷静な眼力が必要である。

 3.情報収集能力: 状況は刻々と変化する。どうしても自分ひとりの能力では、情報収集能力に限界が生じる。それを如何にカバーするかといえば自分の代わりに情報を収集してくれる人、物を有効に生かさなければならない。

 4.管理能力: これは、人を物をどのように生かすことができるかということである。これがなければただの裸の王様である。


 以上のことを一人でできる人間は、早々居ない。能力の低い部分をカバーできる人間がいればその部分を分担し行動するのが良い。

 今回の未曾有の災害時において必要なのは、そういった先導者である。東京電力の今回の対応は、まさしく組織的な問題も大いに含んでいる。伝統があるだけに上から下へ、下から上へ承認を得ながらでないと行動できない悪しき慣習の弊害が如実に表れている。

 今回、対策本部を国と協力して行うという決断は遅かった。きっと有用な情報が東電から出てこなかったという理由が大きいだろう。それはまさしく組織がマイナスに働いた結果だろう。初動が不味ければその影響は後に行くほど大きくなる。その典型を地で行くような状況である。

 今回の状況は、そういった意味で後手を踏み今の状況がある。ここで映画ならヒーローの登場で全てが丸く収まることになるのだが。

 今こそ、日本人の人間力が試されているといって過言ではない。信頼できる指導者を選び、その指導の下この難局を乗り切るしか方法は無い。