原発問題

 曇り、昨日よりも急激に冷え込んだ。気温も5,6度くらいと4月並みの気温である。

引用 毎日新聞(http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110524ddm002040062000c.html) 

東日本大震災:福島第1原発事故 注水中断問題、調整不足で政府守勢−−衆院復興委

 衆院東日本大震災復興特別委員会が23日開かれ、野党は東京電力福島第1原発1号機の炉心冷却のための海水注入が3月12日に55分間中断した問題を取り上げた。内閣府原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長の発言訂正や、菅直人首相の海水注入に関する「首相指示」についての政府資料の誤りを野党は追及。政府の内部調整の不手際が傷口を広げている。

 政府・東電統合対策室は当初、班目氏が「再臨界の危険性がある」と進言したと発表したが、班目氏の抗議で「可能性はゼロではない」と訂正した。自民党の谷垣禎一総裁は「ものすごく違う。コロコロ訂正され理解できない」と追及した。枝野幸男官房長官は「当事者からの指摘でより正確を期した」と反論。福山哲郎官房副長官は23日の会見で「確認作業があればよかったかもしれない」と述べ、班目氏に確認してから発表した方が望ましかったとの認識を示した。

 谷垣自民党総裁の質問もこれに終始したようである。確かに野党の戦術としては正しいのかもしれない。しかし、それができるのは、やはり平時の時だろう。この緊急時にそこを重点的に究明すべきところだろうか?

 これに関して産経新聞は強硬である。
引用 産経新聞(http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110524/plc11052403390004-n1.htm

政治主導に固執した菅直人首相によって、原発事故が拡大したのではないかという疑念が強まっている。「人災」が疑われる以上、首相の行動を徹底的に検証しなければならない。
(中略)
 首相答弁を「嘘の上に嘘で塗り固めている」と批判した自民党の谷垣禎一総裁は、調査権の発動を各党に働きかけ、速やかな真相解明を主導すべきだ。

自民党に対して調査権を発動せよと命じている。この強硬な論旨は、どこからきているのかどうしても裏を詮索してしまう。

 真逆なのが毎日新聞で
引用 毎日新聞(http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20110524k0000m070153000c.html

 ただ、論戦を聞いて、二つの疑問を持った。まずは、海水注入中断問題の位置付けである。すでに1号機については地震発生翌日の3月12日朝の段階で燃料の大半が溶融したとの推測が一般的になっている。その日夜に海水注入が55分間中断したことが、事態の深刻化にとってどの程度本質的なものだったのか。

 もう一つは、菅首相が日本を代表する形で、サミットの場で世界に対し今回の原発事故の原因、今後の対策をまさに発表しようとする矢先に、その信頼性をいたずらに失わせるような議論をすることが、日本の国益上いかがなものかという点だ。

引用 時事通信(http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&rel=j7&k=2011052300899

 谷垣氏は当初、震災、原発事故の両面で菅政権の「力不足」を世論に印象付け、内閣不信任決議案提出への環境整備を狙ったが、特定の問題にこだわり過ぎ、議論が矮小(わいしょう)化した感は否めない。質問後、谷垣氏は記者団に「首相はうその上にうそを塗り固めている」と露骨に反発したが、友党の公明党からは「全然迫力がなかった。あれでは不信任案を出すという雰囲気は盛り上がらない」(中堅)と、冷ややかな声が漏れた。

 
 普通ならこの国難時に何をしているのか国会議員の資質を疑う声が大勢だと思う。どこに世論が向かっているか今の自民党には見えていない。
 このままの情勢では自民党復活の目は無いと読み、菅政権の国民の支持率が低い今が勝負どころと考えているのだろうが、今内閣が総辞職をし、衆議院が解散になった場合、果たして今の状況で選挙そのものが正常に行われると考えているのだろうか?
 冷静に考えれば、今の状況で政局を争えば国会は空白期間を生じ更に震災復興の足かせになることは明白だろう。

 それを考えず行動を起こせば、自分たちの党利党略で日本の復興を妨げた歴史上の人物として名を残すだろう。

 自民党の谷垣総裁は、昔の加藤派の流れをくみ、昔、加藤の乱と言われたドタバタ劇でテレビの前で泣きながら加藤さんの離党を思いとどまらせたという茶番劇を演じた人である。あれは見ていて本当に情けなかった。
 あの時点で、一国の総理の器では無いことを露呈した。まあそれでもその後の総理を見れば、器に適しない人たちが次々総理大臣の地位に就いたのだから総理の器の軽さが今は慣れっこになってしまったのだが。

 さらに言えば、民主党の党としてのこの時期の結束の乱れと相まって、本当に国難に国難を今の日本人は抱えてしまったと思う。
 本来なら、与野党大合同の連立内閣が妥当と思うのだが、それぞれの思惑が複雑すぎて中々まとまらない。それなら菅総理がこのまま総理大臣を続けるしか方法は見えないだろう。

 震災時、諸外国から「冷静な日本人」として称賛されたはずなのが、政治に限っては迷走を続けている。