地吹雪

 晴れ、気温はマイナス10度くらい。日中はこのままだとプラスになりそう。


 2日から3日朝にかけて、猛烈な地吹雪がやってきた。春一番にはまだなのだが、今の時期春の前を告げる大荒れの天気の一つである。

 この天候で、道内では8人の方がお亡くなりになってしまった。あの強烈な風の中、外出するのは数100mの距離でも危険である。

 また車も直接、風が当たらないため危険を感じないように思う人もいるだろうが、車から外の景色が見えないのである。当然前に進むべき道路などもいくらライトを当ててもその影さえ浮かび上がらない。それは前に車が居たとしてもその姿が見えないくらいなのである。そんな時はハンドルを握る手に力が入るものである。

 もしそんな時に遭遇したなら、市街地ならどこかに避難するのが正しい。もし、郊外だったら、人家が見えたら急いで一時避難すべきだろう。

 

 車に閉じこもって難を逃れようとするのは、最悪の事態である。何故なら嵐が通り過ぎるのを待つという、自分の運命を自分で制御できない物に委ねるしかないからである。

 北海道の吹雪は強烈で、吹き溜まりに入れば1時間もすれば車体が埋まるほどになる。ドアの中程位まででもドアは開かなくなる。またそうなれば排気ガスは外に流れず車の中に入り込んでくる。そうなってしまえば、排ガス自殺と同じことを、自殺しようとしていないのにもかかわらず行っていることになるからである。

 外を歩くのも危険である。街中なら何とか吹雪を避けるところが見つかるかもしれないが、野原の中では目印が無いため視界を奪われてしまえば、暗闇の中にいるのと同じである。強烈な風は直ぐに体温を奪い去り、体を動けなくし、自分の歩いてきた足跡さえも消し去ってしまう。

 もうそうなれば、車の中にエンジンを切って籠るか、エンジンを掛けていても窓を開けるなり換気しながら耐えるしかない。本当に後は自分の運命を他に預けるしかないだろう。

 冬山登山に行くような心構えが無ければ、このような地吹雪の時は、外に出かけるべきではない。