雲の多い晴れ、気温6度。街路樹の並木も紅葉は終盤に近づき道路には風に吹かれ落ち葉がカラカラと音を立てている。


 最近感じるのは、景気回復と言いながら、やはり昔の頃の景気回復とは程遠いと感じる。その理由の一つは、やはり自分が年を取ってしまったという事もあるのだろう。年齢と共に目線は変わる。若いころの目線は、何か楽しいことが無いだろうかというハンターのような目つきで周りを見回していた。しかし、徐々に年齢が上がると同時にその視点は鳥が徐々に上昇を始め俯瞰するように視線が変わってきている。

 ただし、それでもバブル期のように皆が浮かれたように外へ出て散財し、儲けを求めて色々な話が飛び交うような状況では無いのは間違いない。この景気回復も一時的な物で、決して長続きはしないことを知っているからである。

 そして、また必ずやって来る不景気に心は向いている。

 これから高齢化社会はどんどん進み、来年には消費税が上がる。それは将来の自分たちの老後の生活を保障する社会保障に使われるものだと信じているから国民はあえて反対はしない。

 もしかすると消費税の上昇率は、8%や10%では足りなく本当は20%程度必要かもしれないが、もし政府が負担を求めてきたなら従う可能性が高い。それもいざという時自分の生活を国が守ってくれると信じているからである。

 もしかするとそれは微かな希望に過ぎないかもしれないのだけれど、一種の保険と考えているのである。それが年金問題のように悲惨な結果に成らないよう願うばかりである。

 自分たちの生活は自分たちの力で守ることが大切なのだが、今の時代、自分だけでそれを守ることは現実的では無い。医療費にしても、現在自己負担は3割になっているがそれでも入院などした場合でも毎月の限度額が存在し、例えば治療に1000万円費用が掛かったとしても自己負担は、月の限度額を超えることは無い。もし健康保険制度が無ければその治療費を賄えなく死んでいくしかない。

 日本で今暮らしているから、そういった自己負担で済んでいるが、もし違う国に住んでいたらそういった医療を受けられずに死んでいくしかないのである。そういった日本に住み、完全な生活保障を受けるなら消費税がアップするのも受け入れるしかない。

 しかし、これが可能なのも日本という国が有ればこそで、もし日本という国が、日本を大事にしない人が大半を占めるようになればこういった恩恵を受けることは無い。少なくとも日本国籍を持つ人ならばやはり日本という国を大事にしようとする心が無ければいけないだろう。それは日本という国との契約なのだと思う。

 

 この先の日本を背負うのは、自分たちの世代では無く、その意思を引き継いだ世代が担うべきなのだろうが、その為には、今の現役世代が少なくとも後世に残せるような大事なものを残すべきであり、例えば福島のツケを後世に先送りするような事をしてはならない。