この先

 晴れ、気温は21度。既に汗ばむ陽気である。


 昨日航空機の墜落の話を書いたが、またアフリカで墜落した。連鎖的に日本でも同様の事故が起きないことを祈るしかない。

 日本のバブルが弾けてから20年程経とうとしている。その間、その当時後進国と言われた国も国力を付け、今では日本の物作りの優位性が失われてしまった感がある。

 一体、今の日本の優位性というのは何処にあるのだろうというくらいの感じがする。日本にできて他の国にできないことは、日本の伝統芸と言われたものでしかないのではないだろうか。そしてそれも日本の一部の地域で伝統的に伝わるだけで、世界に伝わって行くようなものでもない。

 この先、世界の国が物作りを普通に行うようになれば、日本のような輸出に頼る国は衰退していくだろう。一つ衰退しないものとすれば、エネルギー資源であったり、原材料、食料などの資源くらいしかないが、それも無尽蔵にあるわけでは無く、最終的には食料という事に成るのだろう。

 しかし、食料も残念ながら保存性が良くない。保存性を高めようとすると冷蔵、冷凍設備が必要になるし、加工するとそれなりの加工費が必要となる。そのため貯蔵、保存は1年単位でしか考えられず、需給バランスを取るのが非常に難しい。

 となれば、継続的に輸出に頼る国は、今後大きな成長を見込めないという事に成る。更に工業製品も国を超えての流通が減れば、そこに生き残るのは、ある程度大きな企業かそれとも地域に密着した企業という事に成り、中途半端な所は生き延びるのは非常に難しいという事に成る。

 もう一つ重要なのは、作った物が消費されるという当たり前の循環ができる社会でなければならない。そのサイクルを作り出せる国が生き残るだろう。

 今、日本は急激にサービス業への転換が進んでいる。その一つが、医療、介護、福祉分野への資源の投入である。それは高齢化社会が進んだゆえの結果でもある。

 しかし、この大問題がある。今後日本の老人は増え、その分野の需要が高まり、そこへ人材が投入されると、今度は物を作る生産分野の人材が不足することである。

 残念なことに、医療、福祉、介護の分野は、消費するだけで何かを生み出すことは少ない。医療は、少なくとも労働者の健康を維持するのには役立つが、介護、福祉分野となると、その費用を投じた対象が、元気になり若い人と同様に労働力に成るという事は無い。

 

 特に、介護、福祉分野を維持するには、お金は出て行く一方であり、何かを生み出すことは考えられないといって良いだろう。その原資を投入するには、それ以外の分野で収益を上げ続けなければならないという結論に達する。

 今後更に高高齢化社会に成り年金、社会保障に掛かる財源は間違いなく不足し、そちらに人材が回れば回るほど生産現場で働く労働力は減少する。今、そういった分野の労働者の待遇が生産現場で働く人の待遇とのバランスが釣り合っているからまだ目立たないが、医療、介護、福祉分野の待遇が良くなれば、間違いなく生産現場の人手不足は深刻化する。

 生産現場の人件費は、コスト、競争力という観点から上がり幅は小さくなるだろうから、日本の生産品は競争力を失う原因にもなる。

 果たして、この先10年後、20年後、高齢化社会を支えるような産業構造を維持していけるかと考えれば、維持できないと考えるの妥当だろう。そのバランスを維持するには、日本以外の国から富みを持ってくる必要があるからで、そうなった日本に競争力というものは無くなってしまうだろう。

 暗い話になるが、もしこの高齢化社会に立ち向かうには、やはり人口増加が不可欠で。それをかなえるには今より一層厳しい対策が必要になる。

 

 ただし、それが正しい日本の行く末なのか議論が必要だし、その将来を年寄りが集まって決めることでもないだろう。