対 愛媛

 晴れ、朝4時ごろから曇りだった空からみるみる雲が流れ奥に青空が見えるようになった。昨日一日降り続いた雨は、今年の夏を洗い流すかのようである。

 今週は、もう8月に成り、秋がもうそこまで来ている。本当に月日が流れるのはあっという間である。


 週末は東京にいて、札幌の試合中は丁度帰りの飛行機の中だった。家に帰りその結果を見ずにCSの録画を見た。

 

 試合は、前半直ぐ、愛媛の縦パスが、櫛引、奈良選手の間に通り、そこを相手選手が丁度割って入る形に成った。もう少し上手いDFなら相手に体を当て少なくともファールを取られたとしても止めただろう。相手の加速度が追いすがる櫛引選手の寄せを無力にした感じだった。更に言えば、ペナルティエリア内で相手の足目掛けて滑り込むのは止めた方が良い。

 イエローで済めば良いがレッドもありうるのでそれの方が危険である。もう少し相手の止め方を教わった方が良いだろう。

 簡単に先制され、その後、愛媛が攻撃の手を緩め少し相手の攻撃を交わそうと考えたのか(体力の消耗を防ぐためというのもあるだろう)すこし自陣に引き気味になる。その間、札幌もボールを回せるようになり、愛媛陣内での攻撃が続く。

 そして、札幌の得点はCKから入る。上里選手からのショートコーナーから小野選手がゴール前に上げたボールが宮澤選手の頭をかすめ、相手選手の頭をかすめそのままゴールに向かう。これを相手キーパーが右手一本ではじいたこぼれ球を河合選手がシュートしゴールを決めた。

 これもややラッキーだった。宮澤選手が頭で触ってそらしてもゴールを捕えるのは難しい体勢だった。更にキーパーが弾いた球の所に河合選手が丁度いたのもそうである。本当にゴールに向かってボールを蹴らなければ得点が生まれないことの証みたいな結果である。

 その後両者無得点の後後半が始まる。

 本当に、これは札幌の問題なのだろうが、相手に対する集中力が欠ける時が多い。愛媛の得点も相手への一歩が出れば抑えられた得点であった。CSの録画は横からの映像だったのでコースがどうだったか不明だが、すこし難を言えば金山選手の飛び出しが遅いような気がする。もう一歩前なら弾けたのかなと思うが言い過ぎかもしれない。

 後半開始早々の得点で、相手は楽になったと思う。札幌の攻めは遅行が主体でありゴール前を固めてしまえば怖くない。愛媛のDFも今日先発のFWの内村選手は背が低いからハイボールが来たとしても跳ね返せるという余裕が有っただろう。

 

 その思惑通りに試合は進む。札幌のボールポゼッションは、キーパーがボールをDFに出してから始まるのがお約束になっている。相手にボールを取られず自分たちの攻撃時間を増やすのが目的だから作戦的には理に叶っている。ただし、その分相手の守備体型が構築された後なものだから、なかなか相手の守備を崩してまで得点できる力が無い。ゴール前の飛び出しも少なく、味方の選手が動くことで、その動きに合わせたパスが出るわけでもなく、ゴール前に突っ立ってシュートを決めれる選手がいるわけでもない。そこが出来れば今のやり方は完成する。その最後のピースが小野選手かもしれないが、そこにボールが入ることは実際余りない。

 小野選手を囮にして他の選手にパスを出せと指示が出ているのかもしれないが、ゴール前でパスを回せるけれど怖くないパス回しに終始する。

 後半の後半、財前監督の何時もの作戦が出る。さすがに開幕から繰り出している作戦に対して漸く選手たちも慣れてきたのか、その采配が当たる。愛媛のDFが疲れていたのも効果的で、札幌の長身選手に上手く着ききれていなかった。

 同点弾は、少し長いセンタリングを上原選手が上手く頭に当てゴール前に送ったところを都倉選手が決める。相手キーパーが空振りしたのも幸いだった。

 この時点で愛媛の選手の足が止まった。後半のロスタイムで自分たちが逆転するチャンスは無いと思ってしまったのだろう。相手のパスワークが乱れ、易々と札幌にボールを渡す。これは、今までの札幌の悪い所をなぞっている様だった。何時もの逆である。敗者の心理というのは恐ろしい。

 札幌のCKから櫛引選手がシュートを放ちそれが幸運にも相手ゴールに突き刺さる。ゴール前に大勢の選手が居て、それに当らずにゴールに吸い込まれるのも幸運だった。

 この試合、櫛引選手で始まり櫛引選手で終わるというワンマンショー的なシナリオといって良い。これも札幌の選手の意識改革が小野選手を発火剤にして火が着いたというのならこの補強の効果は絶大である。

 次の試合は水曜日という事で見には行けないがこの盛り上がりをつなげられれば連勝もあるだろう。得てして何時もの札幌なら尻つぼみになるのでそれを覆して欲しい。