対 富山

 曇り、気温は10度と比較的高い。


 昨日の試合、CSで見た。

 試合の感想は、ここに来てようやく石井選手が覚醒したようだ。バルバリッチ監督に代り左サイドの上原選手の故障で移動したことが結果的に調子を上げたようである。右サイドでは思い切りも悪く、チャンスにふがいない結果を残してきた。それが結婚報道と共に調子が上向いてきている。

 選手も人間である。コンスタントに実力を出し続けることはできない。好不調の波はどの選手にもある。あのバルセロナのメッシ選手でさえ、得点を決めることができない時期があった。その上向きの波が石井選手に漸く訪れてきたという事である。もし、このままだったら来年の契約が無いのではないかと心配していた。この調子を維持しプレーオフに進出して活躍をしてくれたなら将来は明るい。少し、ほっとしている。

 後はやはり都倉選手だろう。もう少しというプレーがあるが、このところ常時先発していることで、試合に上手く入れていて、チャンスに決めることが出来ている。

 でも、試合中は、決めきれなく少しもどかしさを感じさせるのだが、一試合に必ず訪れるチャンスを高確率で決められるようになってきた。そこが並み以上の選手の証明である。その辺りの実力は持っている。J2で決めることができるがJ1レベルで決まられるか、そこが丁度難しい位置にいるのだろう。彼は、間違いなくゲームに出続けなければ実力は出せない。今までJ1にいたころは先発では無く途中交代で使われていたことも彼が実力を発揮できていない理由だろう。

 

 札幌がJ1に上がれなければ、来季彼がこのチームにいるか判らない。まだ、彼自身実力を発揮できていると思っていないのだろう。そういう意味で外から見てもサッカー選手としてトップに上り詰めたいというプロ意識を感じる。

 上の2人の選手の得点が決まり、富山に快勝できた。富山には悪いのだが、昨日の試合を見ているとやはり選手個々のゲームプランがまだ統一できていないと思う。やはり相手の得点を怖れ守備の重心が下がり過ぎ、攻撃の時の上がりが遅いため、ワントップの選手にボールキープをしてもらわないと得点チャンスが生まれにくい。

 きっと相手に攻撃をわざとさせながら、カウンター狙い或いはセットプレーから得点を狙うということなのだろうが、それならカウンター時にもっと選手の押上げが有っても良いし、それなら敵陣に近いハーフラインくらいでプレスを掛けなければ相手ゴール前まで上がる時には相手選手が守備に戻っている状態になる。

 ワントップが素晴らしい選手で、相手にマークされても簡単に交わしシュートに持って行ける選手がいるなら別だが、やはり作戦としては、もう一つである。後が無い順位にいるのだから思い切って前に出た方が良いと思うのだが、それで引きこもって負けるよりすがすがしいだろう。

 それは、一時期の札幌の姿を思い出させる。相手に得点を入れさせないように自陣前にブロックを作り何とか跳ね返し続けるのだが、守備一辺倒では、やはり精神的疲労は大きい。その隙を突かれ一枚上手の選手たちにゴールを決められる。

 ゴール前に守備ブロックを持ってきて相手の攻撃を跳ね返し続けるには、やはり守備的に優秀な選手が複数人いなければならないし、GKも優秀な選手でなければできない。やはり守備的に守るにしても選手の実力が無ければいけない。そういう優秀な選手は国内でも少なく、それが出来る選手がいるチームができる戦術でもある。

 札幌も、今季、財前監督の時は、ショートパスを繋いで得点を決めるという難題に取り組んできた。それは、今のチームの守備力を考え、自分たちのボールを保持している時間が長ければ相手に攻撃させるチャンスを与えないという理論であった。

 そのために、パス回しの上手い選手を重用したはずだったが、肝心のパスがゴール前では上手く行かず、更にシュートミスが多かった。パス回し重視で選手を選んでいたため、その部分が弱い選手は外れてしまい、ベテランが先発を務め若手が入る隙が無かった。

 しかし、監督が代りパス回し重視で無くなった途端若手の出場チャンスが巡ってきた。それがチームに活気を与え、簡単な攻撃パターンをこなすことを覚え始めて、上手くチャンスを決めきれることが出来れば勝つことも可能になった。更に昨日の試合などは、ワントップへのパスばかりでは無く、中盤で縦パスを通せることができ、戦術に漸く幅が出てきたようにかんじる。

 短期間で戦術を変更し選手がそれをこなし始めてきたのは、選手が元々優秀である証拠である。臨機応変にこの辺りの動きを選手が自分たちでできるようになればもしかするともしかする。

 そういう意味で、次節の湘南戦が意地の見せ所である。これまでの不甲斐ない所を優勝した湘南に見せつけなければならない。しかし、湘南も今節長崎に負け、少しタガが緩んでいる様である。もし札幌に負けたら優勝チームとして格好が悪いということで勝ちに来ることは明らかである。彼らに負けても失うものが無いからである。だからこそ札幌も意地を見せて欲しい。自分たちのチームが生まれ変わりJ1に上がっても戦えるチームであるということを証明させる絶好の機会である。

 湘南相手には、受け身に回ると辛いだろう。その圧力を前で受け止めて跳ね返す真っ向勝負を挑まなければ簡単に負けてしまうだろう。そして、湘南のゴールをこじ開ける戦いを望む。