患者申出療養

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引用 CBニュース(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/45916.html) 

中央社会保険医療協議会中医協)は次回以降の総会で、患者申出療養の具体的な運用に関する議論をスタートさせる。10日に開催された総会で厚生労働省保険局の宮嵜雅則医療課長が、患者申出療養の創設を含んだ医療保険制度改革関連法が先月公布されたと報告。「(来年4月の施行に向け)詳細について設計していかないといけない」と述べ、委員に議論を促した。

 患者申出療養とは、一般の人に聞きなれない言葉だと思う。今まで未承認の抗がん剤などは、患者が希望しても使用することが出来なかった。それは、国民皆保険の日本では、医療は国が承認した医薬品、治療方法でなければ医療とは認められず医療保険からお金が支払がないからである。

 

 その基本は、混合診療保険診療自由診療)が出来ないということであった。しかし、がんなどを患った患者さんは、自分の命を守るため外国で承認された薬剤を使いたいと言う希望があり、その要望を受け入れる形で一部混合診療を認めようというのがこれである。

 ただし、医療保険の範囲内で使われる薬で無いため、使用する患者さんの負担は大きいのは変わらない。

 こうした制度の始まりは、今の混合診療不可の枠を超えてしまうため、次はどの分野にそれが認められるようなるかという事になって来るだろう。

 医学の進歩は、年々最新治療というものを生み出していく。当然その治療技術は、高価な薬、高度な機材を使用する。もしそういった治療が保険収載になれば、その治療を受ける患者の負担は少なくなる。

 しかし、その高度な治療を次から次へと医療保険で賄うとしたら高高齢化社会を迎える日本の医療費は数年先には底をつく可能性がある。

 ハッキリ言ってしまえば、無い袖は振れないというしかないが、そういった高度医療で救われる患者が一人いたとしても、その患者がこの先の人生で何の生産性も無ければ収支はマイナスに成る。

 

 もし高度治療を行っても全て保険料を請求できるとなれば、医療側も簡単に実行してしまう。そこに目の前にいる患者の命を救うという錦の御旗が存在しそれに対して誰も反論ができないからである。

 しかし、実際はこの先に破綻してしまうと思われる医療保険制度を見てしまえば、何らかの方策でその破綻を先延ばしするしかない。それが混合診療の始まりと言えるだろう。

 実際、病院では数か月の寿命を延ばすために数千万の医療費を掛けて治療することもある。それは、目の前の患者を救うためである。今ではDPCという制度が普及し決められた額でしか報酬を得られないため病院の持ち出しとなるが、医は仁術という錦の御旗の前に今は許されている。

 少し、話はそれた感があるが、混合診療により医療は大きく変わるだろう。もしかするとこの先高齢者の医療や富裕層、貧困層といったお金の有無で治療法が選択できるようになる可能性がある。そういった未来は、ものすごい先の話では無く十数年先の事である。

 日本に生まれたことで救われる命も有れば、紛争の絶えない国で若くして命を失う人間が居る。地球上で生まれた人の命は決して平等では無い。この世に顔を出した時点で大凡の寿命が計算されてしまうのである。