東京都知事

 晴れ、気温は23度。直射日光を浴びた日向は既に真夏日の様相を呈している。今日は久しぶりに30度を超えそうだ。


 東京都知事選は、小池氏が圧勝したわけであるが、その選挙時に散々暴言を吐いていた石原親子は雲隠れしたようである。この後の修復はできるのか部外者としても気になる処である。

 小池氏が大人のふるまいをするとすれば、それはそれこれはこれという態度を取るのだろう。それができなければ都知事としての素養が無いことになる。

 だから鳥越氏の失敗は、その大人の対応ができなかったことに尽きるだろう。本来なら自民が分裂選挙になった時点で漁夫の利は自分にあり、それを生かせば相当接戦になっただろう。週刊誌への対応についても弁護士が表に出て訴えるではなく、自分が表に出ているのだからそのまま有権者の同情を買うような表現ができただろうと思う。批判を受けても一時のことであり、自分たちの支持者をまず纏めるのが先決だっただろう。

 昔、青島幸雄という人がいて選挙運動をせず当選した兵がいた。彼は自分の知名度という裏付けがあり、選挙運動をしないということで他の候補者との差別化を果たせた。

 鳥越氏も知名度は抜群なのだから、今までのスタンスで行動すれば良かったのである。更に言えば週刊誌が書いたことを自分の選挙運動の代わりにするぐらいの肝が据わった態度を取ればある一定層の支持は戻ったと思う。


 そして自民党の不味かったことは、知名度で劣る増田氏の代わりに石原伸晃氏の過剰な発言でそちらが悪い意味で目立ってしまい自分の足を引っ張った感がある。どうしても立場としては悪役であり、理不尽な扱いを受けている小池氏の敵役という位置づけを持って登場してしまった。本人はとてもそんな風に考えていない風貌なのだが、今回の候補者の中身を見ても海千山千の兵が揃っているのだから、その評価をどう変えるかが選挙運動の肝だった。そこに石原慎太郎などという化石を登場させ自分の応援をさせるというのだから選挙参謀の頭の悪さを露呈したもんである。


 東京都知事はある意味普段は不要な存在である。如何に目立つときに登場して役人の好プレーを掻っ攫ってあたかも自分の手柄のように振る舞うかの存在である。その部分は石原慎太郎は得意だった。あのスタンドプレーをするにはある程度の人脈が必要で回りから何を言われようとも我動ぜずという感じはあの人の持つ特徴である。きっとそれでよいのだと思う。

 だから小池さんが都知事になりどの様に振る舞うかである。お手本とするならドイツのメルケルのような感じだろう。今は苦境に陥っているが、それまではドイツの繁栄を武器に政敵をなぎ倒してきた。その点、日本で一番反映している東京都を地盤としているのだからそれを武器にできないことは無い。

 東京から日本を変えるくらいのスローガンで突き進むことができれば反対勢力もひれ伏すしかないだろう。今回の選挙で元々の自民党の支持層は一本ではないのは判ったし、公明党も権力になびく政党であるから都議会もある程度の波乱はあるかもしれないが上手くいくだろう。あるいは波乱を起こしながら自分を支持する人間を見極めるという方法もあるが、彼らも政治家の端くれで次の選挙で当選することが至上命令であるため小池百合子を味方につければ其れが叶うとなれば幾らでもすり寄ってくる人たちである。

 そしてこのまま失敗せずに都知事を勤め上げれば自民党復党の上で女性の総理大臣という可能性があるが年齢的に厳しいのかもしれない部分もある。まずは都知事の職を如何に勤め上げるかが最初に問われるところだろう。