米朝首脳会談の裏

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引用 WEDGE infinity(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/13009?p)

 トランプ大統領が当初から、早期開催にいかにこだわっていたかを示すエピソードがいくつもある。

 まず最初は、金正恩朝鮮労働党委員長から出された首脳会談開催提案に対するトランプ大統領の「受諾」即断の経緯だ。

<中略>

 第2は、5月24日「会談中止」にいったん踏み切った際と、その後の政権内の混乱がある。

<中略>

 トランプ大統領が開催を急ぐ理由は何か。まず、米政府および連邦議会の「政治日程」がある。

<中略>

 第2に、大詰めを迎えつつあるロシア疑惑捜査だ。

<中略>

 第3は、上記2点とも微妙にからみあう11月中間選挙が控えていることだ。

 米朝会談に向けての不可解なトランプ氏の行動の論評上手くまとまっている。内容はリンク先を確認して欲しいのだが、北朝鮮問題の解決により、中間選挙の勝利およびロシアンゲートと呼ばれる大統領罷免に繋がりかねない事件の覆い隠し、大統領再選、ノーベル平和賞という全ての利益と問題を解決するためにトランプが打って出た結果が今回のドタバタ劇と言える。

 

 北朝鮮の核放棄はアメリカ世論を動かす何かに思えていたのだろう。これが契機に南北朝鮮が統一されれば歴史のページに残るはず。その利益を天秤に掛け更に北朝鮮が全面降伏に近い譲歩を得れば大統領の手腕に一定の評価を与えるだろう。

 しかし、北朝鮮もしたたかである。トランプの剛腕が見せかけだと見抜いている。だから実利を先に求めているのである。トランプにとって交渉の延期は得にならない。北朝鮮にとっても本来この問題にトランプが興味を示さなくなれば大きな失敗となる。それが怖いのである。

 トランプは北朝鮮が合意するなら経済制裁の解除と核兵器廃絶の期間を延長するのはやぶさかではないだろう。しかし、それにはタイムリミットがある。何時までも大統領が弱気な姿勢を見せればトランプを緩やかに支持する保守層が離反する可能性がある。そこはアメリカの大統領の大国としての威厳を見せる必要があるからである。

 しかし、北朝鮮もタイムリミットが迫るまではトランプの足元を見続けるだろう。経済制裁を解除させることに全力を尽くし、国内の現体制保持の言質を求めるだろう。そうして核兵器保有を密かに続けることに全力を尽くす。北朝鮮の体制に何か起きれば金王朝の命綱は核兵器だからである。もしかするとそれと心中するかもしれない。

 トランプも必死である。アメリカ大統領が再選されなかった歴史があるが、戦後2期務められなかった大統領は、ジミー・カータージェラルド・フォードジョージ・H・W・ブッシュである。そのうちのジェラルド・フォードは、ニクソンが失脚した時に副大統領だったための任命で、実質選2人である。もし、3人目になることがあればそれで名を遺すことにもなるため、やはり選挙に懸ける思いはひとしおだろう。


 6月12日に行われる米朝首脳会談北朝鮮核兵器廃絶が宣言されるだろう。そうして2人が握手する写真が世界中に配信される。これに関して安倍首相も苦々しい顔でこのニュースを見ることになるのは確実である。アメリカは、否、トランプは、日本を単なる自分の栄誉の為の踏み台としか考えていない。時に利用するのに便利な駒だと思っているに違いないことが判っても尚、アメリカに尻尾を振るのかという問題に発展することは間違いない。