核融合炉

 曇り、気温は22度。今日も雷雨の恐れがある。

引用 MITnews(https://newsoffice.mit.edu/2015/small-modular-efficient-fusion-plant-0810) 

It's an old joke that many fusion scientists have grown tired of hearing: Practical nuclear fusion power plants are just 30 years away — and always will be.

But now, finally, the joke may no longer be true: Advances in magnet technology have enabled researchers at MIT to propose a new design for a practical compact tokamak fusion reactor — and it's one that might be realized in as little as a decade, they say. The era of practical fusion power, which could offer a nearly inexhaustible energy resource, may be coming near.

 のっけから英文を引用するとあれなのだが、要約すると

「トカマク型のコンパクトな核融合炉の新しいデザインを考え付いた。それは10年後に実用化できるだろう」

 MITで考案された新しい核融合炉は、核融合反応を起こす領域を強い磁界で閉じ込めることで本体を小さくすることができるデザインとなっている。

 トカマク型核融合炉は、磁気でプラズマを閉じ込める方式をとっておりMITの専売では無い。しかし、その磁気を使うために核融合炉はかなり大きくなりがちである。日本でも実験炉と呼ばれる施設は1970年代から建設されているもので、目新しいものでは無いのだが、中々実用化されないのは、プラズマを安定して閉じ込めることが長時間出来ていないという事である。

 また、フランスで建設中の国際核融合実験炉は、炉の大きさが直径26m、高さ14.5mであるが、今回MITでデザインされた炉は、半分程度の大きさで建設費用も抑えられるとしている。

 このMITの炉がコンパクトにできた理由は、

 ・新開発された希土類バリウム銅酸化物(REBCO)超伝導テープの使用

 ・ドーナツ型原子炉からの融合電力コアをはぶいてしまうことで小型化

 ・融合炉を囲む冷却方法を液体に変えたこと

 既にフランスで作られている実験炉は建設途中なため、これをMITのデザインに変えることは不可能なのでこのまま出来上がり実験に使用されるだろうが、MITのデザインの方が安価で効率がよく短期間で建設できるのだとしたら、フランスのものが後4年で稼働し始めて実運用が2027年という予定だから、今から建設を開始すれば簡単に追いついてしまう計算になる。

 核融合炉は、太陽を地球上で作り上げることである。もし実用化が可能になれば原料となるトリチウムは海水に溶け込んでいるし、原子力発電のように核反応が続くものでもない。ただプラズマを発生させている段階で中性子線等の発生があるので施設の放射化は進むので原子力発電所のように解体時には放射性廃棄物として保管廃棄しなければならない。

 

 また、プラズマを閉じ込めておくことが不可能になればそこでエネルギーの放出は止まってしまうため、現在の原子力発電施設よりはるかに安全と言える。

 もし、この技術が実用化されれば、地上のエネルギー供給に不安はなくなり、石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料やウランなどの放射性同位元素も必要のない時代になる。

 その未来が確実な物であれば、今の原発は必要悪として使われて言って良いものだと思うが、この未来が判るのも10年の月日が必要だろう。