テロでは無く戦争

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引用 朝日新聞http://www.asahi.com/articles/ASHCM5V6YHCMUHBI029.html) 

「君たちに憎しみという贈り物はあげない」――。パリ同時多発テロで妻を亡くした仏人ジャーナリストが、テロリストに向けてつづったフェイスブック上の文章に、共感が広がっている。

 憎しみの連鎖を断つため犠牲者の命を奪った者達に復讐をしない。この言葉に共感を覚える人達は多いはずである。しかし、事はそう簡単では無い。

 自分はこう考える、人間の本質は善でも悪でもない、その時々に変わってしまう。何故なら人の考える能力は人類が誕生する時から持つ動物としての生存本能と言うものがあるからである。

 自分の食料とするために他の動物を殺し、自分の身を守る時には相手に抵抗しようとする。更に自分のDNAを未来に残すために子供を守ろうとする全ての動物が持つ共通のものを人間は持っている。

 その時々で、口に出す善悪は、脳内で作られる夢物語であって人間の本質は、その野生の時の記憶が持つ遺伝子に支配されている。

 今回の憎しみの連鎖を断つという言葉はまさしく夢物語を言葉にしたに過ぎない。

 そもそも犯人側は、憎しみと言う言葉であったり復讐という言葉でテロを起こしているのではない。その目的は、自分たちが信ずる宗教が世界で唯一の価値観であり、それを信じない人間たちは、殺されても仕方がないあるいは排そういった人間を自分たちが排除することが許されていると考えている人間である。殺された人たちは、既にテロを起こした人間たちにとって人間と見なされていないのである。

 

 先に書いたように人の心は変化する。あるいは自分の考えを正当化し、他の人間が悪と思うような考えであったとしても自分は善と考える。それはその時々で洗脳されてると言って良い。

 自分たちの仲間を殺され、何時しか同胞が全てこの世から排除されてしまえば確かに憎しみは連鎖しない。憎しみを持つ人間がそもそも存在しなくなるからである。

 往々にして侵略者が戦闘員以外の女子供を含めて全員虐殺するのは、後の復讐を受けることのないようにするための手段である。

 また戦争は憎しみだけで起きるわけでは無い。戦争を起こす人間の自己利益を拡大するために行われ、指揮する者にとって戦場の人と人との殺し合いは、テレビゲームの画面の中で行われているようなものである。殺される人間一人一人に対して憎しみをもって戦争を行っているのではない。

 残念ながら、こういった記事を読み、この言葉に共感する日本人は、現実から遠く離れた所で生活しているから、安全な所で暮らしているからに過ぎない。もし、自分の身の回りで起きた時にこの言葉に共感した事実を忘れてしまう人が出てくるのは間違いない。何故ならそれが人間が持つ野生の本能だからである。