スポーツと心

 横殴りの雨、気温は13度。寒い。

 昨日の夜中に行われた錦織の試合、第3セットタイブレークで突如崩れてしまいそのセットを落とすと勢いは失せそのまま次のセットを失い負けてしまった。あそこまで行きながらという思いは大きい。

 最近、良いところまではいくのだがゲーム中の好不調が激しく、精神的なものだと思うが、ラケットに怒りをぶつける姿は、全てが上手く行っていないのではないかと心配になる。

 ああそこまで技術と体力がピークに達すると後は精神力の問題になる。メジャーで勝てないのも上位ランクを越えられないのもやはり克服すべきは内なる心といったところだろうなと思う。

 素人は、その壁に到達することも難しくそれ以前の部分で心を乱してしまうのだから、あのレベルのスポーツ選手の心理状況は極限に近いのかもしれない。

 しかし、心の問題は自分一人だけが原因ではなく環境が大いに関係してくる。それを克服するのにも周囲の手助けが無ければ乗り越えるのは困難である。

 彼自身が子供なら周囲に依存してありのままの姿を見せても構わないだろうが、成長して大人になってしまえば、周囲に依存するのではなく自立心が心の主体となる。相談する相手もそう簡単に選ぶことはできずそれが行き詰まれば簡単に精神は不安定になる。

 スポーツとメンタルは切り離すことはできない。

 昨日のキリンカップも親善試合ということで日本選手たちの心はどことなく緩んでいた。だから前半早々から激しく当たってくるシリアの選手たちの気迫に押され満足なプレーが出来なかった。

 あれも心の問題で、本気の相手と戦うという心の用意ができていなかった。それだと本来の実力を出す前に気後れしてしまい、本気でぶつかるまでに心と体を一致させるのは45分では難しい。

 だから場慣れというものが大切で、その辺りはベテランの経験がものをいう。その点、ミスも多少見られたが本田の落ち着きはチームには必要なことである。勢いだけで試合をしている若手にとって歯車が狂えばすべての動きも狂う。

 

 チームとしての練習での融合が、若手が加わることでまだまだ時間が掛かるのだろう。今選ばれている選手たちが本当にチームとして動くにはある程度の試合が必要であるのは確かである。

 しかし、こういった試合を通して一人一人の人間性がプレーに現れるのも機械ではなく生身の人間が行っているからだと思う。