西浦教授

 曇り、気温は19度.雨上がりの空気が風によって運ばれ草木の匂いを届ける.日中には太陽が顔を出す可能性があるが、今のままだと暗い気持ちになってしまう.

 

 新型コロナウイルスの話題で有名となった、北大の西浦教授が8月から京都大学に移動するようだ.接触を8割減らせばという理論は正しいのだが、それを非常識と捉える人たちにとっては標的にされていた感がある.

 実際、非常事態宣言を出し、人の移動を制限したことで日本全国で爆発的な流行は防げたと思う.非常事態宣言が明け、人の移動が徐々に活発になると共に、濃厚な接触が起こりやすい夜の繁華街を中心に感染が広まっている東京は、接触が増えると感染が広まるという良い例ではないだろうか.

 接触を抑えればそれだけ感染する危険性が減るのだから当たり前の理論なのだが、経済を重要視する層にとって接触の回数を減らすことは自分たちの経済が成り立たないため反対の意見を述べるしかない.

 経済を考えずに感染を減らす方法は、人と人が接触する機会を減らすことが優先されるということがよく分かったのではないだろうか.

 接触の機会を減らすことと真逆の行動を取るアメリカやブラジルは、多くの感染者を出し続け、死者も相当数に上る.経済を回すために、経済を止めることで発生する貧困が死者を増やすという、どちらかの選択を迫られ経済を優先した場合の姿が今ある.

 結果的に経済が疲弊するのが先か、国民が感染症でボロボロになるのが先かという結果的にはどちらも多くの死者を出すことに変わりはないという理論だろう.

 日本でも行動の制限が無くなり、その先は自己判断が優先される形となっているが、この先の結果が不透明なのは言うまでもない.今のところ発表される感染者の多くは若い世代で、重症化した人の数が少ないようだ.そのため余り危険性を感じさせないのだが、この先、感染者がどの程度増え、重症化する患者がどれだけ存在するかが国の未来を左右する.

 最初の話に戻るが、感染防疫の基本は、やはり人と人の接触を減らすことである.