イノベーションのジレンマ

 曇り、夜中に少し雨が降ったようだ、気温は18度くらいと低い。

 昨日、「イノベーションのジレンマ : 技術革新が巨大企業を滅ぼすとき」(翔泳社)を一気に読んだ。

 技術革新が巨大企業の運命を変えてしまうのは、長く生きていれば見聞きするものである。そういった意味では、日頃自分が考えていたことが整理され、スッキリする本である。

 この本で取り上げられる技術革新は、HDD、油圧式重機の話である。特にHDDによる巨大企業の変遷をどうしてそうなったのかを解き明かしている。

 確かに、HDDは、その姿を目まぐるしく変え、既にその技術的な部分は平衡曲線に近づいてしまった。そのため現在では製造メーカーの淘汰が進み、ウェスタン・デジタル、シーゲイト、東芝の3社が世界の市場を支配している。

 HDDもこの先、新たな記憶媒体か、クラウドが主流になるか判らない状況であるが、徐々に消え去る運命にあるのだろう。

 HDDが使われるコンピュータ装置の世界にしても、この先デスクトップPCやノートPCが主流であり続けるのか、それともiPADに代表されるPDAが主流になるのか判らない。

 その要因の一つが、このまま未来永劫インターネットが世界を繋ぎ続けるのか判らない。もしインターネットが世界情勢により繋がらなくなってしまえば、PDAはただの箱である。まあ、今ではPCもインターネットにつながらなければただの箱に近い。

 この本にも書いてあるが、市場調査会社の破壊的技術の予想は外れるという事実が有る。この先、何が将来を登場し主流になるのか予想することは困難である。もしそれが出来る人間がいるとすれば、バック・トゥ・ザ・フューチャーのドクくらいである。(古いか)

 この本の流れでいえば、今のシャープ、松下、ソニーの衰退は必然であることが理解できる。何故ならソニーiPADを開発していても可笑しくなかったからである。それは、この本の帯に、元CEOの出井氏の言葉が有るからである。この本を絶賛推薦していた人物なのだから、何故巨大企業が滅びるのかを学んでいたはずなのにそれを覆すことが出来なかった。立派な経営者が居ても・・・という話は、この本を読めば納得できるようになっている。

 技術革新が、企業ならず職業も消えさせてしまう。それは、何が理由だったかは、後で検証して判ることである。その渦中にいる間は、将来自分たちの仕事が無くなることなど想像しなかったに違いない。それは、まさに時が経つことで明らかに成るのだろう。