なでしこ準決勝

 曇り、気温も低い、それでも日中は快晴らしい。


 日本女子サッカーのなでしこの戦い、前半は、安心して見られたのに、後半は、まるで別のチームだった。
 それは、リードしている方の重圧に負けたのか、相手の攻撃を恐れるあまりゴール前にくぎ付けになってしまった。あれでは、一方的に攻める相手に攻撃のリズムを作られてしまうのは、当たり前である。

 本来ならバックラインを上げて相手を相手側におしこめなければならないのだが、その味方選手を鼓舞する役目を果たすはずの澤選手のスタミナがなかった。それも一時の病気の影響が有るのかもしれない。

 そして思ったのは、後半の戦いぶりは、コンサドーレ札幌に通ずるものがあった。得点を入れられまいとするあまり攻撃に厚みを失くし、足が前に出ない。相手の攻撃を受け続けることができれば良いのだが、相手の力が上であれば失点してしまう。本当にそっくりであった。

 彼女たちには、金メダルを取りたい、W杯の女王としての地位を守りたい、あの勝利がフロックと思われたくないという思いが選手、監督にもあるのだろう。だから、どうしても重心が後ろに残る腰の引けた戦い方になってしまう。
 別に、敗れたからと言って彼女たちの戦いの価値が下がるわけでは無い筈なのに、やはり今までの優勝による脚光を浴びた生活からまた転落するのを怖れているのだろう。それは、トップに立ったものの宿命なのかもしれない。

 しかし、決勝は別である。勝利とは別に、W杯王者としての美しい戦い方をして欲しい。それは、必ずしも勝利につながらないかもしれないが、ゴール前を固めるだけのあの戦い方は、勝者には相応しくない。

 最後は、自分たちの理想の戦い方を目指すべきだろう。王者がゴール前を必死に守りかため閉じ籠るのは、勝者の美学に反すると思う。
 
 はたして、最後の決勝は、やはり勝利に拘る戦い方を選択するのだろうか?