マクドナルド

 気温は18度。昨日よりは暖かい。日中は30度くらいには到達しそうである。ただし、自分はその暑い中、冷房の効いた室内にいるため夏を実感してはいない。

 組織というものは、掛け声だけでは上手く行かないものである。何が必要か必要でないか押しどころというものがある。

 今回、日本マクドナルドは、中国製のチキンナゲットが不衛生な製造工程で作られていたという報道で経営に多大な影響を受けている。

 これも、売上減で社長が今年交代したばかりで、売り上げ回復に色々なアイデアを投入しようとしていた矢先であった。これは手鼻を挫くには十分な材料で、この窮地に指揮官たる社長がどういった行動を取るか問われている。

 日本マクドナルドは、100円マックで有名だった。何時も思っていたのは、100円の商品を作って売るには、原価は30円から高くても50円程度だろうと想像できる。

 その値段で、バーガーが製造できるのかと疑問に思っていたが、案の定その原価のしわ寄せがこういった所にあらわれているのだと明らかに成ったわけである。

 会社の利益は、100円マックで稼ぐのではなく、付帯するサイドメニューや、その他のセット商品、或いは高価なバーガーで稼いでいるのであると思わせがちだが、それであの店舗、店員、CMを打てる資金を蓄えることは不可能で、やはり100円マックでも利益を得るという考えが会社的にできていたのだと思う。

 そして、その看板に縛られ、大きな方向転換が出来なくなってしまった。高額のバーガーならマクドナルドでは無く、他のバーガーショップの物を購入するようになり競争にさらされる。

 味よりも価格という消費者に対する長年の刷り込みは、マックは安いものという価値観を生みだし。安ければ味はそれ程気にしないという層が顧客の大半になってしまっている。

 そういった刷り込みを解消するには、会社名を変えてしまう。100円マックを主に販売する店舗と、少し高額な商品を販売する店舗に分離する。などという方法があるが、落ち目の時にそれを行うのは、相当な出費が必要で、日本マクドナルドにその原資があるかという事に成る。

 今の経営者は、きっと進むも地獄と思っているに違いない。一度下がった風評を挽回するには、相当の期間が必要とされると思われるので、もし、ここで有効な打開策が無ければこのまま地に沈んでいくと思われる。

 もし自分が、この状況で社長の地位にいたなら逃げ出したくなっただろう。あるいは、もし自分にその挽回する能力がないと思えば潔く引き下がるのが本当は良い方法だろう。

 一番悪い方法は、その能力が無いのに、変わる意思の無い人間が先頭に立って指揮を執ることである。ハッキリ言ってしまえば玉砕である。

 そうして結果、部下は討ち死にし、指揮官だけが生き残り、ほとぼりが冷めたころいけしゃあしゃあと涼しい顔をして当時の状況を自慢げに語りだすのである。犠牲に成った部下の無念さを思えば泣けてくる結末である。

 残念ながらそういった多くの犠牲の上に日本は成り立ってきた過去があるのである。多くの犠牲に成った企業戦士の屍の上に日本の繁栄はできている。

 しかし、今後は違うだろう。日本社会はドライになり、そういった無能な指揮官からいち早く逃げ出す者が増え、無謀な玉砕が始まる前に誰も居なくなるという事になって行くだろう。それが正しいか正しくないか評価は次の世代の人間にしてもらわなくてはならない。